にっぽにあにっぽん日本語&日本語言語文化

日本語・日本語言語文化・日本語教育

春庭ことばのやちまた>外国人名&オノマトペの表記

2012-04-19 07:00:00 | 対照言語学
2012/03/24
春庭ことばのやちまた>外国人名&オノマトペの表記

質問です
kotosuzume
今晩は。
寝て忘れないうちに書き込みします。
先ほどまで、馴染み連と飲んでいたのですが、そこで、発音の話題になったのです。
と言うのも、東南アジア系の店員が居たり、フランス勤務経験者が居たりで、ロシア人の名前を中国ではどの様に文字で書くのだろうか、犬の鳴き声は、中国、東南アジアではどう言うのだろう、時計の音は、電話の呼び出し音は・・と、尽きません。
そこに春庭さんが居ればなあと思ったしだいです。 どのように発音し、文字に表すのでしょうか。  古都雀
2008-06-21 00:55:31 返信フォームへ 掲示板へ戻る

Re:質問です
haruniwa
1)中国語外国の地名人名表記
1994年に中国に滞在したとき、町のメインストリートは)、「斯大林大路」でした。「スターリン大通り」です。
本国ロシアでもそうでしょうが、中国でもスターリンの名を冠した建物や通りの名がめっきり減りました。

国会図書館で推奨している「中国語での外国人人名表記」の本は『世界地名人名辞典 : 中日欧対照』竹之内安巳著 国書刊行会 1978 (G64-5)です。ご参照ください。

 ニュースで見聞きしているロシア人ほか西欧人の名前、中国語表記の一例
 普京プーチン 布什ブッシュ 薩科斉サルコジ 麥克阿瑟 希特拉ヒットラー ビンラディン本拉登または本拉丹

 地名表記で注意すべきは、日本語で外国地名を漢字表記したものと、中国語表記が異なる場合が有ることです。
フランス日本語漢字表記「仏蘭西」
中国語漢字表記「法蘭西
ドイツ日本語「独逸国」中国語「徳意志国」など。
2008-06-21 11:10:02 ページのトップへ

Re:質問です オノマトペについて
haruniwa

2)擬声語擬音語
各国語それぞれに、動物の鳴き声や音をあらわした擬音語が存在します。

でも、ことばが違えば、聞き取る音も異なります。
春庭のクラス、さまざまな国の留学生が集まるので、ときどき「この音はどう表現するか」という擬音語を教えあう時間を作ったりします。

異文化理解の一環です。

韓国語、中国語をはじめ、いろんな国の犬や猫の鳴き声の言い方、音の表現が集まって、楽しいですよ。

たぶん、ネットを捜せば、春庭が集めたような「各国語オノマトペ対照一覧」というようなサイトがあると思いますから捜してください。

いろんな鳴き声のなかで、各国語でこれだけはみな同じ音にきこえる、という鳴き声は。
「カッコウ」です。


2008-06-21 11:16:40 ページのトップへ
Re:質問です オノマトペつづき
haruniwa
オノマトペ(擬態語擬声語擬音語)は、副詞の乏しい日本語にとって、副詞的表現を豊かにするために欠かせない語です。

多くのオノマトペ研究者が存在しています。

私が各国留学生から聞き取り調査した「この音をどう言い表すか」というのは、授業で日本語のオノマトペを紹介するついでに、留学生にオノマトペに興味を持ってもらうために行った「教室活動」の一環です。

だから、まとめたものもないし、日本語学会などでの学会発表をするには、ほど遠いメモでしかありませんから、発表する気もありませんでした。

でも、今、「いろんな日本語学者言語学者が発表しているにちがいない、ネットを捜せば、オノマトペ対照表がごろごろ載っているにちがいない」と思ってさがしたのに、案外きちんとした表はないことがわかりました。

だれかが、は票すれば、「紀要論文」程度の論文にはなりそうです。

私が今取り組んでいるのは、語彙論「外来語の受容について」という内容なので、オノマトペまで手がまわりませんが、これは、取り組む価値のあるものかもしれません。
2008-06-21 12:00:15 ページのトップへ
Re:質問です 中国語オノマトペの例
haruniwa
中国語オノマトペ(象声词)

象声词=模拟自然界声音的词。

犬 汪汪(ワンワン)
鳥の一種 啾啾jiujiu(ジュージュー)

雷声 隆隆(longlong)ロンロン [口古]隆(gulong)グーロン

鈴の音 鈴鈴lingling(リンリン)

など。
~~~~~~~~~~~~~~~

トレビアン
kotosuzume
酒席の疑問が一挙解決です。
有意言語は言語間変換ができても、音の様な意味のない言葉(文字)はどのように変換されるのだろうかという疑問、音に対応した文字が一つだけ存在すれば(カタカナみたいに)何となく容易に思えますが、そうでない中国は?、答え「対応辞書による」、これはすごい文化ですね。これをやらないと無限に表現が展開して理解不能となるための必然的な方策で、漢字の持つ特性のようです。

漢字1文字その物が、如何様にも組み合わせで文字が展開するので、これを制限した歴史がありますから、これの第2段が「対応辞書」となるのでしょう。

いやー面白いものですね。しかも、情報収集の出来る現場に居る事の強みがあるのですから、興味尽きないことでしょう。

他言語文化交流インターフェイスの研究、益々ご尽力ください。    古都雀
2008-06-22 17:51:16 返信フォームへ 掲示板へ戻る
Re:トレビアン
haruniwa
鶏の鳴き声、コケコッコーもあれば、コッカドゥルドゥルドゥと聞こえるところもある。

人の耳は音の聞き取りも多用ですね。

セミの鳴き声を聞いたときの脳波。
日本語母語話者には「ミーン、ミーン」や「ジージー」と、聞こえますが、この鳴き声を「言語野」の脳波が受け持って認識します。

ところが、英語圏など、印欧語母語話者は、セミの鳴き声は、ノイズ(言語音以外の雑音)を認識する分野の脳によって認識するという脳波研究がでています。

オノマトペが豊富な日本語、きっとさまざまな音を言語野によって認識しているんでしょうね
~~~~~~~~~~~
オノマトペ2弾
kotosuzume
先日の続編です。

酒席での親玉は漁師が趣味、本業は会社社長。そこの株主こと八さんに言わせると顔の裏表が分らない、インド人びっくりの顔の人ですが、「最近漁業組合長をやれ、と言われてこまとるんよ」と言うぐらい趣味どっぷり。

島さんに春庭さんのご解説を紹介すると、「私の興味は、中国で地方の発音が違うのにスターリンとかプーチンとかの中国語表記を誰が決めるのか?ということです。これを中国人に質問して話題にすることがよくあります。動物の鳴き声などの表現方法は、低学年向け教科書や漫画の作者が使った表現が一般化したのかと思っています。」と、まだつっかえている物がありそうな口調です。

確かに、発音が異なる民族が沢山いて、お互い言葉が通じないと言われる大国で、どうやって外国の固有名詞を対応付するのでしょうね。これを考え始めるとまた頭の中がぐるぐるしそうです。ご解説その2、よろしくお願いします。  古都雀
2008-06-23 10:59:36 返信フォームへ 掲示板へ戻る
Re:オノマトペ2弾
haruniwa
中国では、ひとつの漢字に、標準語(北京官話=マンダリン)の発音は一つだけです。

しかし、地方では方言の差がおおきく、名前などでも、南方で「陳=チェン」さんだった人が、北京の大学に入ったときは、「陳=チン」さんと呼ばれます。

地名では、広東地方の「広東」を例にとると、
広東地方では「Gwong・dung」という発音ですが、北京語では「Guǎngdōng」になります。

しかし、外国人の人名は、最初は文字がないのですから、発音が優先されます。

国営新聞社である「新華社」などが、もっとも早く、報道などで人名表記をするので、おおよそは新華社報道の表記が優先的に広まります。

しかし、古い人名表記などでは、そのような中央優先ではなかったので、スターリンの表記も)、「斯大林」、「史達林」の2種類(ほかにもあるでしょう)が流通しました。


2008-06-23 22:32:26 ページのトップへ
Re:オノマトペ2弾
haruniwa
西欧や日本の企業が中国に進出する場合、イメージがよくなる漢字を選んで、最初に自分たちで漢字表記を決めてから中国に乗り込みます。

たとえば、イトウヨーカ堂は、日本での漢字表記「伊藤羊華堂」だと、中国語でのイメージが悪いので、「華堂商場」という会社名にして、中国進出しました。

といういうような「中国における外来語表記の問題」は、春庭のHP「話し言葉の通い路」の「中国語における外来語の表記」というタイトルで掲載済みです。

くわしく書いてありますので、
http://www2.ocn.ne.jp/~haruniwa/0307tyuu7mi.htm
のサイトをごらんください。

5月のOCNカフェに掲載する予定だったのですが、「虹の授業」の掲載をはじめたので、こちらの「中国語外来語カタカナ語」の掲載は、後回しになりました。


2008-06-23 22:46:47 ページのトップへ
Re:オノマトペ2弾
kotosuzume
早いもの勝ちですかね。それにしても、やはり言葉は心の組立て材料でしょうから、この材料選び、組み合せの妙というな詩情を感じますね。面白いものです。
時間を見つけて、ご案内の記事を読んでみます。ありがとうございました。 当の社長が言っていました。「これを追及すると一冊の本が出来るねえ」って。酒席の雑談に花が咲き、実が生った気がします。 古都雀
2008-06-24 23:32:12 ページのトップへ
~~~~~~~~~~~~