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ニッポニアニッポン語教師日誌>世界の文化を楽しむ

2010-07-04 10:52:00 | 日記
2012/01/18
ぽかぽか春庭十二単日記>遊びをせんとや生れけむ(6)世界の文化を楽しむ

 「遊びをせんとや生まれけむ」の春庭ながら、仕事はまじめにこなしております。といっても、仕事でも楽しむことは忘れておりません。
 1月6日に、留学生初級日本語クラス、新年最初の授業で、春庭クラス恒例の「Show & Tell」をしました。それぞれの国の文化について、ものを示しながら、日本語で説明をする、という授業です。

 トルコの学生は、世界遺産「ヒエラポリス-パムッカレ」の写真を見せていっしょうけんめい説明しました。ヒエラポリスは、古代の都市名。2世紀頃のローマ帝国の遺跡があります。パムッカレとはトルコ語で「綿」という意味だそうです。綿のような白い岩が不思議な景観を作り上げています。石灰華段丘からなる丘陵地。
http://labaq.com/archives/51296331.html

 しかし、「その白いのは、ほんとうの綿ですか」という他の学生からの質問に、トルコのネブさんは、「いいえ、綿じゃありません」「saltですか」「いいえ、塩ではありません」と言ったものの、日本語の「石灰岩」という単語を知らず、「Caveにも同じのがあります」と言ってあとが続かなかった。彼の言うCaveとは、鍾乳洞のことを言っているのだという見当はついたのだけれど、私は、鍾乳洞Stalactite caveという単語も、「炭酸カルシウム」「石灰」というのを英語でなんていうのかも忘れてしまい、説明できませんでした。

 タイの学生は、ドリアンについて説明し、フライドドリアンチップスをクラスの皆に配って試食。インドネシアのダーさんは、アンクルンを借りてきて、どのような楽器か、音を出しながら説明しました。私も久しぶりにアンクルンのひとつを鳴らしてみました。
 アンクルンの演奏で「上を向いて歩こう」
http://www.youtube.com/watch?v=KCm23TZhiFQ

 インドネシア男子学生は、バティック染めのシャツを見せながら伝統のろうけつ染めを紹介しました。きちんと発表原稿を作ってきたワンさんは、メモを見ながら「バティック(ジャワ更紗)というのは、インドネシア語で、"点"を意味する、tik,titikと、"沢山"を意味するbayaから合成されたてbatikということばになりました」と教えてくれました。ろうけつ染めの蝋を垂らす点。それがたくさんつらなって、模様を描き出す。へぇ、バティックはいろいろ見てきたけれど、語源は知らなかった。早速メモ、メモ。
 手書き手染め、型プリント機械染めなど、いろいろな「バティック」があります。ジャワ島、カリマンタン島など、島ごとに異なる独自の模様があることも説明してくれました。

 中国のリーさんは、中国大晦日の飾り文字「福」の字をなぜ逆さまにして飾るのか説明。
「福がやってくる」という意味の中国語「福到来」と「福が倒れた」という意味の「福倒了」は、似た発音になるため、福を倒して逆さまにしておけば、福がやってくる、と中国人は考える、という発表でした。
 このことは、私も中国に行ったときに聞いていたので、他の国の留学生に補足説明。ようは、発音が同じということによる掛詞、シャレのわけで、日本にも同じような言葉遊びや修辞法があることを教えました。

 最後に私からのShow & Tell。祝い袋とお年玉袋を見せて、日本人がお金をプレゼントするときの習慣について説明。次に、日本語も「福到来」と同じように、シャレが好きです、と話し、御縁と五円は同じ発音だと、説明しました。そして、お年玉袋にリボンを結んだ五円玉を入れて、「これで、私とみなさんのゴエンがつながりました」と、全員にプレゼント。日本語でじょうずに話せたことのご褒美をあげてShow & Tellの授業をおひらきにしました。

 今年もたくさんの留学生といろいろなゴエンが結ばれ、いろいろな言葉を得ることができるだろうと楽しみです。
 あなたとのゴエンも続きますように。あ、私にプレゼントしてくださるなら、五円玉でなく、五万ドルほど用立てていただけると、ありがたい。アハッ、インドネシアの五万ルピアなら、貸してくださると。でも、五万ルピアだと500円玉一個分。これではバティックのシャツも買えませぬ。

 とにもかくにも、福が到来しますように。2012年は、1月23日が旧暦の元日です。

<つづく>