半歩半歩

歳月を経てみて
感じられることがある。

今、私は、友達に、
「どうか、半歩半歩、ゆっくり前へ‥ね」と
心で、切に想っている。

半歩半歩という言葉は
私にとって
ものすごく大事な言葉。

病気で足が悪くなり、
一年七ヶ月、入院し‥
いよいよ退院するというとき。
主治医の先生が
「いつもは、一歩一歩がんばってくださいと
患者さんに言うんじゃ。
でも、山口さんは、半歩半歩がちょうどいい。
半歩半歩ゆくんじゃぞ」
というふうに言葉をかけて下さったことが
心にしみている。

今、友達に、どうか半歩半歩でいてね‥そのことを思うとき、ハッとした。
あの頃には、気がつかなかったけど、
先生のお気持ちが心に迫ったから。

長い道のりになるから、そして平坦な道のりではないから、
本当に無理はしないでほしい、
小さな歩幅で、自分の歩幅で、ゆっくり前へ歩いていってくれよ、
自分を大切にするんだよ
そんなふうな気持ちから、いただいたのかもしれないと
今、切に思うほうの立場に立って、初めて気がついた。

歳月を重ねるごとに
いろんなことへの
感謝が深くなる。