フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

ちょっと変わった切ない話

2020年02月11日 07時00分00秒 | 日々の出来事・雑記

昨日あった話です。

具体的に書くとアレなんで、枝葉をカットして、ちょっと挿し木して話を整える。しかし、大事なエッセンスはきちんと伝えたいと思う。伝えられるかな?

毎日仕事で、警備員のおじいさんに会う。背が小さくてかわいらしい顔をしている。年配の人にかわいらしいという言葉を使うのはどうかと思うが、本当にかわいらしいのだから仕方がない。

彼は僕のことをすごく気に入っている。うぬぼれのようだが、間違いない。僕もそれなりの歳で、人生経験も豊富だから、あいさつするときの感じでわかる。

そして、僕も彼のことが好きだ。好きの前に大を3つくらい付けてもいいくらいだ。あんなに善良で人の良いおじいさんは、なかなかいない。その意味で僕たちは相思相愛だといえるだろう。

それで、先週の金曜日にちょっとした事があった。
おじいさんが、財布を忘れて昼飯が食べられない、と笑って僕に話しかけてきた。
僕は、すぐに「これ食べてください。僕は他に食べるのがありますから」と言い、自分の食べるつもりだった弁当(400円)を差し出した。
おじいさんは「ありがとう。お腹がすくと立っていられなくなるから、もらう」と言って弁当を受け取った。

そして、昨日のことである。
僕は先週のこのことを忘れていた。別にたいしたことではないからだ。
僕はいつも通り、
おじいさんに、こんにちはと言って、会釈した。
すると、おじいさんは僕の方にツカツカやってきて、千円を手に握らせた。
「えっ、なんですか?これ」と僕は言った。
「お弁当代だよ」とおじいさんは言った。ああ、先週の話かと思い出し、これはもらえないなと思い、おじいさんに突っ返した。
ちょっとの間、おじいさんと押し問答になった。僕が受け取らないと、おじいさんの顔が悲しそうになる。あまりに悲しそうな顔をするから、僕は仕方なくそのお金を受け取ってしまった。受け取るわけにはいかないが、受け取らないわけにもいかない状況になってしまったのだ。

僕はおじいさんに千円を払わせるつもりなんて、全くなかった。ただ、おじいさんの喜ぶ顔が見たかっただけだ。逆に、おじいさんは僕の喜ぶ顔が見たかったのだろう。

たぶん、正解は、僕が「うれしい、ありがとう」と笑ってお金を受け取ることだったような気がする。でも、それができなかった。
千円札をもらって、突っ返して、またもらってを繰り返してしまった。

僕はおじいさんが好きだからそうしたのだし、おじいさんも、多分、僕が好きだからそうしたのだろう。お互いがお互いを思いやっての行動だった。
しかし、僕はそのおじいさんのお金を受け取ったとき、すごく切ない気持ちになってしまった。

なんだろうね、この感じは。わかってもらえるだろうか。本当に人生って不思議だなぁと思う。

 

 

コメント
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