人間のできることはきわめて制限されていて、外部の原因の力によって無限に凌駕される。
したがって、我々は、我々の外にある事物を我々の使用に適合させる絶対的な力を持っていない。
だが、例え、我々の利益への考慮の要求するものと反するような出来事に遭遇しても、
1 我々は自分の義務を果たしたこと、
2 我々の有する力はそれを避けうるところまで至り得なかったこと、
3 我々は単に全自然の一部分であってその秩序に従わなければならぬこと、
そうしたことを意識する限り、「平気で」、それに耐えうるであろう。
スピノザの言葉を私なりに解釈すれば、通常のやるべき事をすべてやってそれでもその出来事が起こったなら、それは「必然」だったということである。
その出来事の積み重ねが生きることであり、必要以上に怖がったり不安になったりすることはなく、どうせ逃げられないのだから堂々と前進していくべきだということである。
あきらめという消極的な態度ではなく、災難ですら笑って受け入れるという強者の思想である。