フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

相手の靴をはく

2010年10月08日 08時50分22秒 | 社会・政治・思想哲学

 「相手の靴をはく」ということわざがある。相手の立場になって物事を考えるという意味だ。
 相手の立場に立つためには、その相手の話をよく聞かなくてはならない。相手の立場になって物事を考える利点は、相手が何を欲しているのか、何が嫌なのかを知り、衝突を避け、妥協点を見出すことにある。
 しかし、そのような利点を分かってはいるもののなかなか人の話を聞くことはできない。それはなぜだろうか。
 
 人の話を聞くということは、その人の経験した事実をもう一度その人の経験したように自分が追体験することである。つらい経験などあまり聞きたくないものもあるが、人の経験を追体験することは面白い。
 ただ、問題は、その事実に向き合ったとき、その体験した人と同じような反応をしないことにある。例えば、相手が十万円を拾ったという話をした。しかし、その人が十万円をこっそりもらったと言ったら、ちゃんと届けろと考える人もいる。このように自分と他人は反応が違う。
 その反応の仕方が個性というものなのだが、この「自分」という部分を捨て去らなければ、人の話は素直に聞けない。
 だから、自分の考えというものをとりあえず捨てて、真っ白な状態で聞く必要がある。自分の思う正しさは置いておいて。
 自分の主張を一時的にどこかに置いておくという作業は難しい。しかし、誰も主張の正当性なんて求めていない。人は物事の正しさを追求するために、会話をしている訳ではない。ある経験をしたときに、自分と同じように感じてもらいたいのである。正しいか悪いかは問題ではない。
 主張のぶつけ合いもときに必要であるが、相手の言っていることに共感する能力もコミュニケーションの重要な部分である。

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