「妬み」を持つ感情と他人の不幸を喜ぶ感情に関する脳内のメカニズムについての研究がされた。
被験者である健康な大学生19人に、あるシナリオを読んでもらい、その脳活動を計測するという実験である。
シナリオの内容は、学業成績や経済状況が平均的な人物を主人公として、ほかにA、B、Cの人物が登場する。なお、A、B、Cのキャラクターは以下のようになっている。
A 被験者と同性で、進路や人生の目標や趣味が共通。被験者より上級ないし優れた物や特性 (学業成績、所有する自動車、異性からの人気など) を多く所有している。
B 被験者と異性で、進路や人生の目標や趣味は全く異なる。被験者より上級であったり優れた物や特性 (学業成績、所有する自動車、異性からの人気など) を多く所有している。
C 被験者と異性で、進路や人生の目標や趣味は全く異なる。被験者と同様に平均的な物や特性 (学業成績、所有する自動車、異性からの人気など) を所有している。
実験の結果、被験者による妬みの感情は、学生A、B、Cの順に高くなったが、同時に不幸が起きた時の喜びの感情も学生A、B、Cの順に高くなった。
実験中の脳の活動を機能的核磁気共鳴画像法を用いて画像化したところ、妬みの感情には、大脳皮質の一部で葛藤や身体的な痛みを処理する部分「前部帯状回」が活動していた。また、妬みの対象の人物に不幸が起こると、心地よい感情や意志決定などに関わる「線条体」と呼ばれる部分が反応した。妬みに関わる「前部帯状回」の活動が高い人ほど、他人の不幸に対し心地良い感情を与える「線条体」が強く反応する。
この実験結果をまとめると、人は「同性で同じ趣味で優秀な人」を妬む。それは、ライバル関係になりやすく負けているもしくは負けそうな人に対して妬むことを意味する。そして、その人の不幸を心地良いと感じる。それは、力の似通った同性が互いに競争し、相手を蹴落とすことが、本能にインプットされているということである。
事実として。