旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

雨晴海岸と海鮮漬丼と有磯曙と 氷見線を完乗!

2022-04-23 | 呑み鉄放浪記

 大きな弧を描いて能登半島が続いている。海面はどこまでも穏やかな富山湾だ。
定刻に警笛の音がしたような気がする。やがて海岸線をなぞって朱色のディーゼルカーが姿を現す。
カタンカタンとレールを鳴らして、2両編成のキハ40系が女岩(めいわ)の横を抜けていった。

北陸本線で呑む旅でふたつ目の寄り道、氷見線に乗って美味い海鮮丼を食べたい。喪黒福造にも会いたい。
新幹線に先んじて開業した瀟洒なステーションビルからは、海王丸の湊へと向かう路面電車が走り出してきた。

高岡05:56発、始発の523Dに乗車する。地方に出張るとどうしても行程を欲張るから、勢い早起きになる。
わずかな乗客を乗せた2両のタラコは、少し大袈裟な唸り声を発して、鈍重に動き出す。

朝ビールは “ゆずびぃる”、石川県産大麦を使用したJR西日本のKIOSK(セブンイレブン)の限定販売モノ。
もう県境を越えちゃってるけどご愛嬌、爽やかなゆずフレーバーを楽しみながらディーゼルカーは往く。

高岡を発って二つ目の能町までは住宅街の中、けっこう軒下ギリギリを抜けたりして趣がある。
小矢部川を渡る前後は臨海工場群の中、四つ目の越中国分を出ると、車窓に風光明媚な海岸線が広がる。

海岸線に沿って曲がりくねる車窓に男岩(おいわ)が、続けて女岩(めいわ)が見えてくる。雨晴海岸だ。
氷見までのラスト2区間は青々とした松林に沿った直線区間になる。鈍重だったタラコは軽快に走り出した。

わずか30分、缶ビール1本の旅は、車止めに行く手を塞がれた単式ホームに甲高いブレーキ音とともに終わる。
休む間もなく折り返す2両編成には、高校生たちが次から次に乗り込んでいく。

「ドーン!!!!」っと笑ゥせぇるすまん。ボクはどストライクな世代なので喪黒福造と会えて感無量なのだ。
氷見は藤子不二雄Ⓐの故郷、町中には氏の描いたキャラクターたちに溢れている。

午前8時、桜花爛漫の湊川べりに足を運ぶと、軽快な音楽が流れて水煙が上がり、カラクリ時計が動き出す。
約5分の愉快なショーは、忍者ハットリくんが風呂敷を広げて空を飛んで終わる。子供たちは大喜びだね。

桜の並木に包まれた湊川を河口まで歩くと氷見漁港、寒ブリで有名なこの漁港は富山湾随一の水揚げを誇る。
つまり、ここを訪ねれば富山の「きときと」が堪能できるのだ。っで漁協の2階「漁市場食堂」を目指す。

氷見の高澤酒造が醸す “有磯 曙”、キリッとしまった淡麗辛口は豊潤でもあり、なかなか上品で美味い酒だ。
択んだ丼は “氷見海鮮漬丼”、揚がったばかりの新鮮な魚を甘辛い自家製ダレに漬け込んで最高のアテになる。
小鉢の “もずく酢” も嬉しいね。生姜を溶いて、これまた酒の肴にピッタリなのです。

漬けは三分の一を肴に、さらに三分の一をご飯と楽しんだら、だし汁を注いで茶漬け風に楽しむ。美味い。
土鍋でグツグツと音を立てて、磯が香る “漁師汁” も純米吟醸を引き立てて、なかなか味のある助演なのだ。
富山湾の「きときと」な酒肴を味わい、嬉し愉しの寄り道、氷見線の旅。さてそろそろ北陸本線に戻りますか。

氷見線 高岡〜氷見 16.5km 完乗

夢見る渚 / 杉 真理 1982
     



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (笑子)
2022-04-23 06:49:55
いい旅ですね~!!
雨晴海岸☆彡1度だけ
夜明け撮影に行ったことがあります
車で行ったので道の駅に停めましたが
次回があれば鉄道で行ってみたいです
喪黒さんも海鮮丼も魅力的!
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氷見 (tsakae)
2022-04-23 08:53:10
この記事を見て
氷見で 氷見線もハットリ君列車に乗ったのを思い出しました。
https://blog.goo.ne.jp/tsakaegoo/d/20140129
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Unknown (呑み人)
2022-04-23 09:42:41
笑子さんこんにちは。
本当は雨晴海岸から富山湾越しの立山連峰を見たかったのですが、
やはり午後でないとNGですね。逆光ですし。おバカしました。
笑子さんは、わたらせ渓谷鐵道をシリーズされるとのこと、
楽しみに拝見しております。
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Unknown (呑み人)
2022-04-23 09:48:34
tsakae 様、こんにちは。
コメントありがとうございます。
「忍者ハットリくん列車」は、高岡駅構内で行ったり来たり。
当日は運用されなかったのが残念です。
「べるもんた」の運転日だったからですかね。
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