旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

いずれ菖蒲か杜若 フラワー長井線を完乗!

2019-07-07 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 山形新幹線を降りて旧い跨線橋で4番線に渡ると、桜色の気動車が待っていた。
さくら名所100選に選ばれた南陽市の烏帽子山千本桜をイメージしたラッピング車両だ。

前衛的デザインのJR赤湯駅に対して、山形鉄道の駅舎は暖か味のあるロッジ風。
今回はフラワー長井線で最上川に沿って置賜の田園地帯を往く。 

桜色の気動車は6つ目の今泉でJR米坂線と連絡する。
地方の小駅は、フラワー線上下線の交換にJRのキハも停車して、一時の賑わいを見せる。 

 フラワー線の中心、長井駅に上り列車が入線してきた。
水を表した青をベースに、市の花である "あやめ" を描いた鮮やかなラッピング車両だ。

駅から北へ15分ほど、長井あやめ公園には500種100万本の "あやめ" が咲き誇る。
明日まで「長井あやめまつり」が開催中だが、ちょっと花の盛りを逃した様子、残念。 

今宵、まつりのフィナーレを飾る「長井おどりパレード」が市内で開催されるらしい。
ひょっとしたら、可憐な浴衣姿の "菖蒲" か "杜若" に出会えるかも知れない。  

 

 今はひっそりした商店街を過ぎて「そば処 丸万」を訪ねる。自家製粉十割そばの店だ。
地酒の "小桜" を冷やでいただく。飾りっけのない、まさに地元のオヤジが晩酌する酒。 

 

肴は "天ぷら" と "にしん" で。鰊とは最上川を介した北前舟文化の影響だろうか。
素朴だがこの甘露煮が冷や酒に合う。おもわず杯が重なる。  

長井駅は1936年に改築された貴重な昭和戦前期の木造駅舎、なんとも趣きがある。
なんでも市庁舎と併設した新駅舎が建設されることになり、年内に解体されるらしい。 

長井を発つと左右の車窓には一面の田圃が広がる。
白兎(しろうさぎ)、蚕桑(こぐわ)、鮎貝(あゆかい)と美しい響きの駅名が北へと続く。 

最上川橋梁は一世紀を超える現役の鉄道橋、歴史的にも構造的にも貴重な近代土木遺産。
明治20年、東海道本線の木曽川に架設された英国パテントシャフト&アクスルトリー社製の
ダブルワーレントラスは、下流のJR左沢線の最上川橋梁に分割して移設されたものだ。 

最上川を渡った桜色の気動車はガクンと速度を落とし、まるで這うように大カーブに入る。
東から北へ、90度を曲がり切ると荒砥駅、旅の終わりを告げる車止めが立ちはだかっている。 

山形鉄道・フラワー長井線 赤湯~荒砥 30.5km 完乗

愛の水中花 / 松坂慶子 1979



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