ご存知犬山城は室町時代に建てられた現存する日本最古の天守。
木曽川河岸の小高い山上の天守、その最上階から一望する濃尾平野の眺めは絶景だ。
ここを訪ねるのは5年ぶり、暮れが押し迫った頃、対岸の中山道を歩いた。
上飯田線は全長わずか0.8km、もちろん日本で距離が最も短い地下鉄路線になる。
桃のラインのステンレス車両は、ひと区間を走って名鉄・小牧線へと乗り入れて行く。
複線ときおり高架の路線も小牧を過ぎると単線に。左右には田園都市の風景が広がる。
小牧線、犬山線、広見線の3線を集めて犬山駅に終着、ここまで17分の旅。
桃のラインの4両編成は上飯田線・小牧線専用仕様、他線に乗り入れることなく折り返す。
犬山駅の階上はマンション。んっ「尾張の小京都」の玄関口としては残念な駅。
明治時代創業の老舗「松野屋」で、郷土料理の "豆腐でんがく" をいただく。
地元犬山の "東洋自慢" のアテに、味噌が香ばしいふっくらした焼き上がりを愉しむ。
後半は "菜めし" にのせて、ほんのり苦いご飯とでんがくの甘い味噌が絶妙なのだ。
城下町の町割りがそのまま残る本町通りを歩く。旧い町並みに浴衣姿が溶け込んでいる。
犬山城の麓にある三光稲荷神社は城主であり尾張藩附家老成瀬家の守護神だと云う。
縁結びの御利益がある可愛いピンクのハート絵馬、女性の心を掴んでいるようだ。
さて旅は広見線に移して東へと走る。今度は名鉄らしい深紅の4両編成だ。
広見線はほどなく岐阜県に入る。空港特急が乗り込む新可児までは複線になっている。
この先、運賃体系が違うのか、オール無人駅なのか、改札内改札を通って乗り継ぎする。
新可児から先はいつ廃止してもおかしくない真のローカル線、レトロな2両編成が往く。
旧型車両はレールをがたがた鳴らして10分、夕闇せまる御嵩駅に終着する。
駅周辺を歩いてみる。この時間、郵便配達員以外にすれ違う人はいない。
御嵩も中山道の旧い宿場町、5年前に息子と歩いた寂しくも懐かしい町並みなのだ。
名古屋市交通局・上飯田線 平安通~上飯田 0.8km
名古屋鉄道・小牧線 上飯田~犬山 20.6km
名古屋鉄道・広見線 犬山~御嵩 22.3km 完乗
春ラ!ラ!ラ! / 石野真子 1980