轟音を立てて大井町行きの9000系5両編成が多摩川橋梁を渡ってくる。
大井町線は二子玉川〜大井町を結ぶ路線だけれど、田園都市線の複々線化で溝の口まで足を延ばした格好だ。
車両フロントのラインは、路線カラーのオレンジからイエローにグラデーションしている。
人気の街二子玉は、駅の東側にもショッピングセンターが開業して発展著しい。
沿線住民は渋谷まで出なくても、ショッピング、食事、レジャーも高いクオリティで楽しめそうだ。
それでは早速3番ホームに上って、この週末は大井町線に乗って呑む。
まずは二つ目の等々力駅で途中下車、ホームに上がるのに踏切を渡るという、昔ながらの私鉄の駅。
谷沢川が武蔵野台地を深く削って多摩川に流れ落ちる。
その等々力渓谷を観ようと途中下車したけれど、現在は立ち入り禁止なんだね。
仕方なしに「超」が付く高級住宅街を抜けて等々力不動尊へ回り込む。
お不動様に手を合わせたら渓谷の茶屋で一服。わしゃ “抹茶あんみつ” を所望ぢぁ。
前々から甘味にもチャレンジしようと思っていたから、今日はちょっとウォーミングアップ。
6分間隔で各駅停車が行き交う中、ときおり急行が割ってはいる。6000系はスタイリッシュな流線型だ。
さらに二つ進めて九品仏駅、その名前が気になって途中下車。駅舎は踏切にはさまれている。
アルファロメオかな?クラッシックなスポーツカーと赤いコラボレーション。
駅から北へ石畳の参道が延びている。どうやら九品仏浄真寺が駅名の由来だ。
九躰(九品)の阿弥陀佛をご安置しているから「九品仏」なのだそうだ。
龍護殿(本堂)には御本尊の釈迦牟尼仏がこれでもかと云うくらい輝いている。
ちょうどお宮参り?の赤ちゃんと若いご夫婦がご祈願を受けていた。どうかお健やかに。
その一つ先が自由が丘、言わずと知れた「住みたい街」の上位に常連する洗練された街並みだ。
もちろん呑み人とは縁遠い。ん10年前に日吉に通う高校の同級生を訪ねて以来だと思う。
自由が丘を出た9000系5両編成、案外激しくアップダウンを繰り返す。
改めて東京が武蔵野台地の上にあって、幾つもの川が削った谷底が入り組んでいることを実感する。
池上線と交差する旗の台は、7つの商店街を有する下町風情の街。ランドマークの大学病院が聳える。
暮らすには便利そうだし、雰囲気のある酒場もありそうだ。ゆっくり歩いてみたい街だね。
折角なのでアンカーには急行を指名する。終点まではわずかに5分の乗車だ。
熊本藩細川家の下屋敷だった戸越公園を掠め、東海道新幹線を潜るとほどなく大井町に到着、終点だ。
東小路だの平和小路だの横丁には酒場が軒を連ね、夜の帳が下りれば大井町はワンダーランドだ。
でも今宵は横丁に背を向けてイトーヨーカ堂裏の老舗を訪ねる。
まだ16:00過ぎだけど人気店には席待ちの人、でもそこはお一人様だから、カウンターの一席に尻をねじ込む。
ご多分に漏れず、まずは “生ビール”、お通しは申し訳程度の大根とこんにゃくを煮たやつ。
ここのマスターは威勢がいい。何くれと声をかけてくれる。勧められるままに “寒ぶり刺し” を択ぶ。
ちょっと水っぽい、解凍したてか。最近のボクは筆が意地悪だ。でも甘みがあって美味しいね。
二杯目は “ハイサワーハイッピー”、ほんのりビターで爽やかで、たぶん初めて呑む。
でっアテは “生いわし梅天ぷら” これ絶品です。まさに人気店の面目躍如だね。美味しい。
ほんとは日本酒にしたいところだけれど、地酒のラインナップはない。
そして “ジムハイボール”、オリジナルグラスでのサーブされるとなんだか良い気分になる。
この手の酒場のアテには、スコッチよりバーボンが絶対に合うと思う。
もうひと皿は “宇都宮餃子” どこが? でも焼きたてのカリカリが美味しい。ごちそう様です。
さてと、次回は再び蒲田か、あるいは目黒か五反田か。東急線の飲み鉄の旅はまだ続きます。
東急大井町線 二子玉川〜大井町 10.4km 完乗
<40年前に街で流れたJ-POP>
熱視線 / 安全地帯 1985