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旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

ロマンスカーと北斎と栗の町と奥信濃の湯と 長野電鉄線を完乗!

2016-08-13 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 "ながでん" はシルクと蔵の町・須坂、北斎と栗の町・小布施へとカタンコトン走る。北信五岳の雄姿を背景に、
リンゴ畑の中を抜けて往く "特急ゆけむり号"、夜間瀬川鉄橋を渡ると、まもなく温泉の町湯田中に終着する。

北陸新幹線の延伸開業を期にリニューアルした長野駅、善光寺の玄関口にふさわしい大庇(おおひさし)を設えた。
大庇の下をエスカレーターで地下へと潜ると長野電鉄の改札へと連絡する。

かつての小田急ロマンスカーは、4両編成に短くしているから芋虫の様に見えるけれど、これはご愛嬌だ。
小田急ではプラチナチケットの展望指定席も、ここでは早めに並べば座れる全車自由席である。

長野電鉄線は4つ目の善光寺下駅までは地下を走っている。地上に出ると住宅街の中を走り抜け、
大河千曲川を村山橋で渡ると蔵の町・須坂。須坂からは千曲川東岸のリンゴ畑の中を北上する。
長野から20分少々、北斎と栗の町・小布施に途中下車してロマンスカーを見送る。

 曹洞宗梅洞山岩松院の本堂の大間天井絵は、晩年を小布施で過ごした葛飾北斎作の「八方睨み鳳凰図」だ。
岩松院は福島正則公の霊廟でもある。安芸49万石の大封から10分の1に減封され、悲運を嘆きつつ没している。


 桝一市村酒造場は、栗菓子の小布施堂を営む市村家が宝暦5年(1755年)に創業した造り酒屋だ。
酒造場の直営店舗では、趣があるテッパ(手盃)台と呼ぶカウンターで自慢の酒を愉しむことができる。
それではとっ、日本酒度+8、辛口で芳醇な "鴻山"、もろみを荒めに濾したにごり酒 "ろく" を試した。

ランチは酒蔵を改装した和食レストラン「蔵部(くらぶ)」が気になるところだけれど竹風堂本店へ。
"栗おこわ定食" は、山菜煮物、にじます甘露煮、むかごのくるみ和えが添えられ、やっぱり酒が欲しい。  

 にわか雨が上がった小布施駅から、ここから湯田中もでは "特急スノーモンキー号" に乗車する。
地獄谷で温泉に浸かる "スノーモンキー" を称した先代NEXのカラーリングはながでんカラーと親和性がある。

信州中野から40‰の急勾配を登り切ると終点の湯田中駅は、湯田中渋温泉郷と志賀高原の玄関口になる。
特急の到着を待つ路線バスと旅館のマイクロバス、タクシーが入り乱れ、狭い駅前広場は一時の活況を呈す。

 松代藩の湯治場として、また善光寺に詣でた後の精進落としの湯として名を馳せたのが湯田中温泉。
今日は寛政年間から続く老舗旅館「よろずや」に投宿する。
お膳は、信州サーモン、信州手打ちそば、信州牛巻き蒸し、鮎塩焼き、と地物尽くしを堪能するのだ。


老舗旅館は純木造伽藍建築の「桃山風呂」と野趣あふれる「庭園露天風呂」がご自慢。
夕に朝に趣溢れる源泉掛け流しの風呂に浸かって、いつもと違うちょっと贅沢な長野電鉄線の旅なのだ。

長野電鉄・長野線 長野~湯田中 33.2km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
コバルトの季節の中で / 沢田研二 1976