思考の踏み込み

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忍び4

2013-12-25 16:56:18 | 歴史
そんな忍び達をほぼ絶滅に追いやったのが織田信長である。

いわゆる「天正伊賀の乱」において、
動くモノは全て "根切りにせよ" という信長の指令はまことに凄まじい。
が、それほどにしなければ忍びの集団を倒し得なかったであろうし、ひいてはそれほどに苛烈でなければ中世というものは打ち破れなかった。

その功罪の是非はともかく、中世的な力の破壊という面で、本願寺攻めと並ぶ信長最大の業績の一つであろう。




不思議なほど中世の終わりの時期は東西の文明圏で時を同じくしているが、
日本にあってはほぼ一人で信長が終わらせたといっても言い過ぎではないと思う。

日本史の長い歴史の中でも、織田信長という男はその意味で毛色が違う。

その、信長対伊賀忍群という戦いの構図は立川文庫のどんなフィクションよりも理屈抜きで面白い構図であろう。

もちろん実態は悲惨なものであっただろうが、まるで絵本や御伽話で誇張したかのように突出した個性と個性のぶつかり合いというのは、後世の者にはこれ以上ない娯楽である。

だが、闇を跳梁し世の中の虚を扱う忍びの者たちにとって、真正面から大軍でひたすらに攻められるということはさすがにどうすることもできなかった。



人間の心理に働く力学において、忍びの術の入り込めないほどに "軍隊" というものの心の作用と、"大軍" であるという集団心理の強さは (前に向いている限りは) もっとも強い働きを持つものだろうと思う。