今日の朝日新聞の県民版の記事です。
「アユ遡上これで楽々?広瀬川の魚道改修」という見出しです。完成した魚道の写真も掲載されていました。
記事は、「老朽化し破損したまま放置されていた広瀬川の郡山堰左岸の魚道が改修され、12日に開通した。・・・。今年は広瀬川上流に天然アユが踊りそうだ。・・・。新魚道は段数を増やし、傾きは50度から10度に。各段を板で仕切り、渇水時も魚道内に水をためる。アユは板の端に開いた幅40センチの『切り欠け部』を上れるようになっている。」と続きます。
郡山堰には本当に川の左右に魚道が設置されていましたが、左岸側の魚道は崩壊したまま。右岸側の魚道も10余年前に改修したのですが、全く効果がなかったものです。
改修された左岸側の新魚道は、確かに傾斜も緩く、水の流れも緩いようですが、一つ心配があります。
写真では肝心の魚道の入り口がいまいちはっきりしませんが、ここの魚道があるということを魚が分かるようになっているのか、分かりませんし、入り口のところの底が深くなっているようには見えません。
ジャンプしなくてもすんなりと魚道に入れるようになっているのならいいのですが、ジャンプするためには、底が深く掘られていることが必要だと聞いています。
アユが新魚道を遡上するかどうか分からないため、宮城県は定期的に確認作業を行うといているようですが、以下の文章は【ここまでわかったアユの本】(著者:高橋勇夫+東健作・築地書館発行・2006年)からの引用です。
郡山堰のような魚道を”でべそ型魚道”(下流側に著しく突出しているから)というそうで、このタイプの魚道の最大の欠点は≪魚が入り口を見つけることが難しい≫ことにあるとのこと。魚道があることは、水中ではきわめて分かりにくいという。
そして、「魚道のような施設は施行が完了した段階を『完成』と考える方がむしろ間違っているのかもしれない。というのも、川というものは何か手を加えれば、必ずどこかが変化する。それを見越した設計というのは相当に難しいであろうから、建設後も川と相談しながら細かな『手直し』を繰り返し、その川にジャストフィットさせるという作業が必要になる。それが終了してやっと『完成』というべきではないのだろうか。」と。
その悪い典型が、郡山堰の右岸側の堰ではないでしょうか?!
取りあえずつけておこう。てな発想のためでしょう。