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膵外分泌不全のミルちゃん

2014年04月04日 | 診療科目

今回は、昨年末から徐々に体重が減って来ていた11才のミルちゃんのお話しです。

年末の時点では1.5kgほど痩せて来ている以外、他の症状も全くなく各種健康診断にも異常がなかったので、食餌の増量をお願いして経過観察としました。

それから2ヶ月後「2週間前から下痢をして元気がなくなってきた」とのことで来院されてビックリです。

 

↑4ヶ月前と比べると6kgも痩せてガリガリに・・・

この様子をみて、飼い主の方も「悪い病気でなければよいのですが・・・」と心配されていました。

すぐに各種検査を行った所、腸全体の拡張所見とCRPという炎症反応が4.3と軽度に上昇していた以外は目立った異常所見が無かったので、「慢性腸炎」と仮診断のもと一般的な腸炎の治療反応をみることにしました。

 

↑レントゲンには上腹部のデンシティの低下が認められました。

 

当初脱水が酷かったので、3日ほど点滴による入院治療を行った所、とびきり元気になって、いつものミルちゃんの動きに戻りました。

状態が安定したので退院とし5日間投薬と食事療法で治療反応をみましたが、元気や食欲はあるが未消化の軟便が続き体重も200gしか増加しない状態でした。

ここで鑑別診断として

1.慢性炎症性腸疾患:診断には内視鏡による胃腸粘膜の組織生検が必要

2.膵外分泌不全:診断には血液検査(TLI測定)や消化酵素剤の投与反応をみる

があげられますが、次の診断の進め方としては、一般状態が良いこと、検査の煩雑さ、コスト面を考えて消化酵素剤の試験的投与を選択しました。

すると、約7日で形の良い便をし出し、徐々に体重が増えてきました。

 

↑体重が4kg増えたミルちゃん。元気はハツラツです!

ちなみに、今回ミルちゃんが患った「膵外分泌不全」という病気の説明をすると、

膵臓には内分泌機能(血糖値を調節するインスリンなどのホルモンを分泌)と外分泌機能(食べた物を消化・分解する消化酵素を分泌)の働きがあり、そのうち の外分泌の働きが悪くなった状態を膵外分泌不全と言います。この病気になると食べた物をうまく消化吸収できないため食べているのに栄養失調で痩せる、慢性の下痢をするなどの症状が出てきます。この病気になると、完全に治ることはありませんが、消化剤の投与によって日常は質のよい生活が送れます。

今後は、体重25kgを目標に治療のプランを立てて行く予定です。

 

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