社長ノート

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人材不足

2014-03-03 22:01:01 | 日記
そりゃそうだ・建設業界の人材不足解消、何をすればいい?
2014/03/02 14:00
エヌ・アンド・シーは2014年2月26日、首都直下地震と防災・減災対策に関する意識調査結果を発表した。それによると関東在住の就労者から成る調査対象母集団において、現在生じている建設業界の人材不足の解消のために、もっとも有効な手段として挙げられたのは「給与水準を上げること」だった。7割近い人が同意を示している。次いで「安全・健康に働けるように取り組む」「長時間労働を抑制する」が続いている(【発表リリース:「首都直下地震と防災・減災対策に関する意識調査」】)。
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今調査は関東在住の20歳から59歳までの就労者に対し、2014年2月1日から4日にかけて携帯電話を使ったインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2000件。男女比、10歳区切りの世代構成比は均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。

【正社員の不足感強し、建設・製造は現場が足りない…企業の人手不足感】や【需要増に応じられない、企業の維持強化が困難…人手不足の影響を探る】などでも解説している通り、ここ一、二年における景況感の好転化、東京オリンピック招致をきっかけにした大規模な公共事業の展開への施策、さらには「コンクリートから人へ」のフレーズに代表される、この数年間で決定的となった建設業界へのバッシングによる建設業界の萎縮に伴い、同業界では多方面で人材の不足が叫ばれ、需要と供給のアンバランス間が生じている。建設業界側も対応に苦慮する一方、とりわけ、景況感の転換直前までの数年間の苦境(「当時の」国が率先する形でのバッシングにおける、卑下の対象とされた)の経験から、容易に規模の拡大などを行ってもすぐに再び状況が悪化してしまうのではないかとの疑心暗鬼があり、拡大施策に踏み切れない、及び腰になってしまうとの意見も多い。

このような状況の中で、建設業界が現在抱えている人材不足問題の解消のためには、どのような施策が必要と思われるか。今調査対象母集団に尋ねた結果が次のグラフ。これはあくまでも就業者全体に聞いた結果であり、専門家の分析や建設業界関係者限定の意見では無いことに留意しておく必要がある。


↑ 建設業界の人材不足解消にはどのようなことが必要だと思うか(複数回答)

最上位の回答は「給与水準を上げる」で68.2%、次いで「安全・健康に働けるように取り組む」で56.4%。この二つが半数以上の回答率を示している。4割以上で仕切るとさらに「長時間労働を抑制する」「福利厚生を充実させる」が続く。

これらの改善条件は見方を変えれば、今の建設業界において少なくとも就労者全体からは、不十分である、あるいは水準が低いとの認識があることが分かる。だからこそ人が集まらず、人材不足となる、それゆえに原因を取り除けば状況の改善は図れるというものだ。

提示された選択肢のチョイスも一因だが、「その他」「当てはまるものなし」の回答率が少数でしかないのも合わせ、ごく普通の、建設業界に限らず人材の確保が容易になる方法、見方を変えれば人材が集まりやすい魅力的な業界を構築するための、基本的な施策が上位を占めている。一方で「各種プロモーションの展開」や「外国人労働者」の活用といった、現状に直接手を触れて改善を模索する「以外」のやり方に対する同意率は低めに留まっている。「その前にやるべきこと、リソースを注入すべきことがあるだろう」という次第である。


回答者の少なからずは建設業界とは遠い立ち位置で就労していることになるが、それでも現状とその改善のための方法はある程度的を射たものとなっているようだ。無論これらの方法を実践するのには、多くの経営リソースが必要になる。そして経営リソースを多分に投入するためには、企業、業界そのものの安定感、将来性が欠かせない。そこに本文中で触れた「過去の経験から会得してしまった疑心暗鬼感」が障害となって立ちはだかっている。

【東京2020オリンピックを「老朽インフラ更新」の大義名分にしてしまおう】などで解説している通り、今後日本では高度成長期に構築した公共施設・インフラの更新需要が大量に発生する。ゲームの世界のように永遠に保たれる施設・インフラなど無い。黙っていても増加する需要に対し、これまで通り建設業を卑下するような風潮や施策を続けていては、言葉通り国そのものが立たなくなり、身動きすら取れなくなる。

朝日新聞 天声人語

2014-03-03 08:45:01 | 日記
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 「アルメニア放送」といっても実在する放送局のことではない。旧ソ連時代に政治社会を風刺した小話のうち、問答形式のものをそう呼ぶらしい。ちなみにアルメニアは旧ソ連国の一つだった。傑作を紹介しよう。
 問い「戦車とは何ですか」。答え「ソ連の兵士たちが友好諸国への訪問に乗っていくものです」。一定の年齢以上の方ならうなずくことだろう。
 戦車の記憶はオリンピックと重なる。1968年にはチェコスロバキアで高まった民主化の動き、いわゆる「プラハの春」を力でつぶした。ソ連主導の兵士20万人という軍事介入はメキシコ五輪の直前だった。
 79年にはアフガニスタンに侵攻する。西側諸国は翌年のモスクワ五輪をボイコットした。ソ連崩壊後の北京五輪でも、黒海のほとりから煙が上がった。ロシアとグルジアの軍事衝突が、平和の祭典を曇らせたのは記憶に新しい。
 そして今、ソチの冬季五輪が終わり、パラリンピックを目前にして軍事介入の危機である。ソチの西、ウクライナのクリミア半島をロシアは掌握にかかっているという。欧米は反発し、ここにきて新冷戦ともいうべき図が霧の中からぬっと姿を現した。
 遠地ながら半島の名は日本人にも親しい。19世紀のクリミア戦争の際、献身的な看護で「クリミアの天使」と慕われたナイチンゲールと結びつく人が多かろう。軍用車の展開も伝えられるが、ウクライナのことは国民自身が決めるのが筋だ。腕力で隣国に干渉するのでは、旧ソ連と変わらない。