社長ノート

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東京新聞

2018-01-29 15:49:06 | 日記
作業着おしゃれ改革 人手不足の建設業界、イメージアップへ
タツミプランニングが新しく作った女性用作業着=横浜市西区で
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 建設現場でおなじみの作業着。安全性や機能性が求められてきたが、現場以外で着ることをためらう人も多かった。そんな中、デザイン性にも目配りした作業着を取り入れる動きが広がりつつある。高齢化が進み、人手不足に悩む建設業界が「業界のイメージアップを図り、若い人にアピールしたい」との狙いがある。

 デザイン住宅などを手掛ける「タツミプランニング」(横浜市)は昨年十月、女性専用の作業着を初めて作った。現場監督の女性(35)は「職人の方や社内の女性からも『かわいいね』と評判は良いです」と喜ぶ。

 これまでは、男性用の作業着を女性向けに小さくして着ていた。ただサイズは合っているのに「だぼっ」とした印象で、評判は良くなかった。新調した作業着は紺色の上着に同色の細身のパンツ。見た目がスマートな印象になった。ファスナー部分もあえてピンク色にして、アクセントをつけた。

 女性からの評判も上々。「作業着のまま電車で移動したり、外食をしたりしたけど周りの目が気にならない」「男女兼用の作業着を着たときは恥ずかしかったけれど、今回は恥ずかしくない」

 米山茂社長(48)も若いころ、スーツ姿の男性に対して、なんとなく劣等感を感じた。既製品の作業着に比べ、二倍ほど費用はかかる。それでも米山社長は「モチベーションが上がり、生き生きとした仕事につながる。デザイン住宅の会社というイメージとしても格好は大切」と話す。

 今回、女性専用作業着を新調したことから、「近いうちに男性用もオリジナル作業着を作りたい」と話す。

 業界としてデザイン性を重視した作業着を開発する動きがある。地方の中小の建設業者でつくる全国建設業協同組合連合会(東京都)は昨年、ファッション専門学校の「東京モード学園」の学生に、誰もが着たくなるような作業着のデザインを依頼。男性用と女性用それぞれの最優秀作一点と、優秀作二点を選んだ。青柳剛会長は「実際の製作を検討している」と話す。

東京モード学園の学生がデザインした、男性作業着(右)と女性作業着(左)の最優秀作
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 建設業界の喫緊の課題は人手不足だ。厚生労働省の労働経済動向調査(二〇一七年十一月)によると、正社員などの労働者不足を感じている事業所の割合を示す指数は、他産業に比べて建設業が最も高い。業界を志望する人が少ないため、高齢化も進んでいる。国土交通省の資料によると、建設業で働く人のうち二十九歳以下の割合は10・8%(二〇一五年)で全産業16・2%を下回る。

 青柳会長は「今の若者も建設業界に、きつい、危険、汚いのマイナスイメージを持っている」と指摘。施工管理などにタブレット端末やドローンなどのIT機器を使ったり、事務所やトイレなどを清潔に保ったりするなど、業界の改善努力が伝わってないと嘆く。

 青柳会長は「若い人に建設業界を発信するためにもおしゃれで格好いい作業着をつくる意味は大きい。働き方改革も進めながら、人手不足に対応していきたい」と話す。

 (寺本康弘)



春秋 日本経済新聞

2018-01-27 22:54:00 | 日記

 「冬はつとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず」。清少納言はこの季節の早朝の風情を「枕草子」でめでた。しかし、千年余を経た宮仕えの我々は記録ずくめの寒さに身を縮めるばかりで、そんな余裕はとても持てない。つらい通勤の日々がやっと小休止した。
 けさはあたたかな布団に存分、長居した方も多いのではなかろうか。東京は48年ぶりの氷点下4度、さいたまも統計を取り出して以来の同9・8度など列島ごと冷凍庫に収まったような週だった。意外に雪と寒気に弱かったのは首都高速で、高架が上下から製氷皿のように冷やされ、全線の復旧には97時間も要したという。
 水道管の破裂が相次ぎ、電力需給も逼迫気味と聞けば、インフラの防寒も大切と改めて気付く。それでも、この数日は子どもらにとってめったにない自然観察の好機だったろう。雪だるまをこしらえ、小さなつららに手をのべたり、水たまりにできた氷をすくい取ったり。「もっと雪降らないかな」と無邪気なものである。
 漱石の「火鉢」は朝から冷気にすくみ、いら立つ自らを描く。昼すぎに思い切って銭湯に赴き、帰って妻が出すそば湯をすする。書斎で炭の炎や音に接し、初めてその日のあたたかみを感じた、とつづった。やっとたどり着いた小さな安堵だろう。冬との戯れを忘れた身として、自分なりのあたたかみを探す週末としたい。