社長ノート

社長が見たこと、聞いたこと、考えたこと、読んだこと、

東京新聞 筆洗

2014-03-21 19:37:27 | 日記
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 かつてその小さな港町では、こんな言葉が飛び交った。「酒になったか?」「おう、酒になったぞ」。たとえば今の時季なら、コウナゴ。漁の水揚げが目標を超えた船には、漁協から酒一升がふるまわれた。銘柄は地元の酒蔵・鈴木酒造店の「磐城 壽(いわきことぶき)」だ。
 福島県浪江町の請戸(うけど)は、江戸の昔から漁業と海運で栄えた。秋になれば川を無数の鮭(さけ)がさかのぼる。そんな地で、海辺ならではのミネラル分豊富な水と地元産の米を、酒蔵で代々育んできた自慢の「家つき酵母」で醸す。それが、磐城壽。海の恵みをことほぐ酒だ。
 だが酒蔵も何もかも津波に奪われた。請戸は福島第一原発から六キロほど。鮭は昨秋も遡上(そじょう)してきたが、漁船はいまも無残に打ち上げられたまま。水田も面影を失い枯れ野になっている。
 しかし、磐城壽の酵母は生きていた。震災の前に、研究のため県の試験場にたまたま預けてあったのだ。鈴木酒造店は山形県長井市の廃業した酒蔵を買い取り、再出発した。
 この三月十一日には、純米吟醸「甦(よみがえ)る」を売り出した。山形に避難している福島の人と山形の人が一緒に育てた米で醸し、更(さら)に生きていこうとの思いを込めた。
 「昔ながらの米の味と山形のとてもきれいな水。澄んだ感じと力強さの両立を目指した酒」と鈴木大介専務(40)は言う。味わってみれば確かに、ゆっくりじっくり酔いを楽しめる、いい酒である。

国土交通省グランドデザイン

2014-03-21 01:46:24 | 日記
国交省/国土のグランドデザイン骨子案修正/「外国人活用」削除、賛否両論配慮 [2014年3月20日1面]

 国土交通省は、6月に策定する新たな国土のグランドデザインの骨子案を修正した。災害に強く、持続的な成長・発展が可能な国土づくりの担い手確保に向け「外国人労働者を活用」するとしていた文言を削除した。外国人労働者の活用に慎重論が根強い建設業界の意見などを考慮。今月中にまとめる骨子では、「外国人活用」は明文化されない見通しとなった。修正された骨子案は18日夕に開かれた「新たな国土のグランドデザイン構築に関する有識者懇談会」で提示された。
 グランドデザインの策定を担当している国土政策局によると、骨子案から外国人労働者の活用を削除したのは、官民で賛否両論があるため。2020年東京五輪を控えて建設業の人手不足に対応するため、政府は外国人技能実習制度の見直しによる外国人活用を検討しているが、日本建設業連合会(日建連)は長期的な視野で国内での人材確保を優先すべきとの姿勢を示している。地方の建設業界からも労働環境や語学、治安などの問題を理由に慎重な対応を求める声が上がっている。
 国交省は、骨子では外国人活用の明文化を見送るが、グランドデザイン最終版での扱いは官民の検討状況を踏まえて判断するという。