2016年2月に発生し裁判まで行われた習志野市障がい者解雇問題
について、その後の経緯と現況についてのコメントが、この問題を
支援してきた「ユニオン習志野」と「習志野障がい者雇用を求める準備会」
からのコメントがHPで掲載されていますので転記します。
https://www.facebook.com/ユニオン習志野-union-narashino-1454289984899667/?hc_ref=ARSbD1KM5BlNolnnlQgSDm2kWjktg_8zKHrwB2fWZ28ElS5cBwuyHjot4IVm6UaDGNc&fref=nf
2018年3月15日
習志野市障がい者不当解雇問題について
(現状報告とお詫び)
ユニオン習志野
拝啓、皆様の日頃のご奮闘に敬意を表します。
習志野市役所で発生した障がい者不当解雇事件に関し、2年にもわたり応援メッセージ、習志野市役所への抗議や話し合い申し入れ、裁判傍聴、街頭デモ、地域・職場での署名活動、更には裁判カンパなど温かいご支援をいただき、心より御礼申し上げます。
その後さまざまな事情で裁判が中断し、皆様への経過報告が遅れたことをお詫びします。
この解雇問題が発生したのは2016年2月29日でした。千葉県習志野市に「障がい者枠」で正式採用されたAさんが、わずか9か月後の2016年2月29日に「能力不足」を理由に解雇されてしまった、という驚くべき事件です。
解雇された直後の3月中旬にAさんからユニオン習志野(習志野市役所の職員労働組合)にご相談があったので、「一人の仲間も見捨てない」という労働組合の原則を守り、Aさんを応援することになりました。
労使交渉を繰り返し、Aさんの不当解雇撤回、原職復帰を求めましたが、習志野市当局は「能力不足で解雇しただけ」と、頑なな姿勢を続けました。
この不当解雇事件は労働問題であるだけでなく、障がい者差別、障がい者切り捨ての問題でもあったため新聞、雑誌、テレビなどメディアにも取り上げられ、市議会でも多くの議員の方たちが解雇撤回を求めて当局を追求しました。
障がい者枠で職員に正式採用しておきながら、「能力不足の障がい者はいらない」と切り捨てる習志野市宮本泰介市長の姿勢に習志野市民のみならず全国から疑問と怒り、抗議の声が寄せられました。
障がい者が共に働き、共に生きていけるのびのびした社会にしたい、障がい者を差別し排除する習志野市のあり方を変えなければいけない、という思いで多くの労働者市民が立ち上がり「習志野市障がい者雇用を求める会(準)」という市民組織も立ち上がりました。この会にユニオン習志野も参加し、Aさんとともに市内の各駅頭での街頭宣伝、署名集めなどの活動や毎回の裁判の傍聴への呼びかけを行ってきました。
裁判は毎回傍聴席を満席にするという異例の事態になり、全国の注目の的になりました。裁判を通じて、市当局がAさんを解雇した非人間的なやり方も明らかになりました。
解雇撤回を求める署名も1396筆お寄せいただき、2017年6月13日に第4回目の口頭弁論が予定され、勝利に向かって大きく前進していました。
しかしここで大問題が発生し、突如裁判が延期になってしまいました。度重なる裁判やその準備で心労が重なったせいかAさんの精神状態が不安定になり、裁判の継続が難しい状態になったのです。
習志野市障がい者雇用を求める会(準)としては経過を見守ってきましたが、Aさんの状態は改善されず、裁判に出席すること自体が厳しい状態であると伝えられ、6月に予定されていた裁判は中止になり、現在に至るまで裁判が中断しております。
今後裁判をどうするかについてはAさん自身が決めていくことになりますが、労働組合ユニオン習志野としては、これ以上Aさんが裁判を継続することはAさん自身に負担が大きすぎ、Aさんのためにもならないと判断し、解雇撤回闘争の継続は困難、と判断せざるを得なくなりました。
しかしながら、この解雇撤回闘争を闘う中で多くの障がい者の方々、更に障がい者とさまざまな形で関わっている方々からのお話もうかがい、さまざまな労働組合、市民団体のご支援をいただく中で障がい者問題、障がい者雇用問題などについて私たちは多くのことを学ぶことができました。本来障がい者雇用について民間に指導するのが市役所のはずなのに、逆に市役所自体が障がい者を職場に受け入れる努力も環境づくりも行って来なかった、一番問題なのは市役所だ、という習志野市の実態も明らかになりました。
2018年4月からは企業や市役所において障がい者の法定雇用率が引き上げられます。しかし、それだけで解決できる問題でしょうか?法定雇用率を満たすためとりあえず障がい者を雇用はしてみるものの、障がい者を仲間として職場に受け入れる努力も環境づくりも行わずに安易な解雇・雇い止めを行い、退職強要を行い、不安定な雇用を続けさせようとする、そんな障がい者雇用のあり方を変えていくべきではないでしょうか。労働組合が取り組むべき大きな課題だと思います。
私たちは第2、第3のAさん問題が起きないよう、職場で働く仲間が泣き寝入りすることがないよう、市のあり方を改めていくことに努めて行きたいと思います。
この間皆様からいただいたご支援、心のこもったメッセージやサポートに心より感謝申し上げます。ご期待に沿うことができず、力不足をお詫び申し上げます。
なお、この解雇撤回闘争の経過等については、
このFacebookページ「ユニオン習志野」や
「習志野市障がい者雇用を求める会(準)」のホームページ
http://mayday.sub.jp/n.koyou/ をご参照ください。
2018年3月15 日
習志野市障がい者職員解雇問題についてのコメント
習志野障がい者雇用を求める準備会(以下「準備会」と呼ぶ)
「準備会」は障がい者枠で千葉県習志野市に正規職員として採用されたAさんが、9か月後の2016年2月29日に「能力不足」を理由に解雇された事件をきっかけに活動を始めました。
障がい者枠で職員に採用しながら、「能力不足の障がい者はいらない」と切り捨てる宮本泰介習志野市長のあり方は、障がい者と共に働き、共に生きていく社会をつくりだすどころか、障がい者を差別し排除するものであり、許すことはできないという思いでAさんとともに市内の各駅頭での街頭宣伝、署名集めなどの活動や毎回の裁判の傍聴への呼びかけを行ってきました。
「準備会」は下記事項を方針としてきました。
1.習志野市にAさんの解雇撤回を求め職場に復帰させること
2.市内外に呼びかけAさん裁判を支援すること
3.Aさんの解雇問題を通じて習志野市の行政の異常なあり方を市内を中心に幅広く知っていただき、身近な問題として考えていただくこと
「準備会」は定期的に会合を開き、市内外の方にご参加いただき、障がい者の方々や地域・職場で
障がい者を支えている方々のご意見やお話もうかがい、意見交換をし、街頭宣伝と裁判傍聴への呼
びかけを行ってきました。
新聞、雑誌などメディアもこの問題を取り上げ、全国に支援運動が広まりました。
裁判は毎回傍聴席を満席にするという、民事では例のないもので、如何に皆さんの関心が深かったかが
伺えました。
裁判を通じて市当局がAさんを解雇したやり方の異常な実態も明らかになってきました。
市長に解雇撤回を求める署名も1396筆お寄せいただき、6月13日に第4回目の口頭弁論が予定され、
勝利に向かって大きく前進していました。
ところが残念なことに突如裁判が延期になってしまいました。度重なる裁判やその準備で心労が重なったせいかAさんの精神状態が不安定になり、裁判の継続が難しい状態になったのです。
準備会としては経過を見守ってきましたが、Aさんの状態は改善されず、裁判に出席することが厳しい状態であると伝えられ、裁判が中断になっている状態です。
今後裁判をどうするかについてAさん自身が決めていくことは言うまでもありませんが、準備会としてはこれ以上Aさんが裁判を継続することはAさん自身に負担が大きすぎ、Aさんのためにもならないと判断し、実に残念ではありますが、準備会の上記方針であるところの
1.習志野市にAさんの解雇撤回を求め職場に復帰させること
2.市内外に呼びかけAさん裁判を支援すること
については、断念せざるを得ない、と判断するに至りました。
準備会は活動を通して障がい者の方々、更に障がい者とさまざまな形で関わっている方々からのお話もうかがい、障がい者問題、障がい者雇用問題などについて議論し、多くのことを学ぶことができました。障がい者雇用問題
も含めた習志野市の異常な実態も分かりました。
2018年4月からは企業や役所において障がい者の法定雇用率が引き上げられます。しかし、これだけで解決で
きる問題でしょうか?法定雇用率を満たすためとりあえず障がい者を雇用してはみるものの、障がい者を職場
に受け入れる努力も環境づくりも行わず、いつでも解雇・雇い止めを行い、新しい障がい者を雇うことで不
安定な雇用を続けさせようとする、そんな障がい者雇用のあり方を変えていくべきではないでしょうか。
私たちは再び第2、第3のAさん問題が起きないよう今後とも習志野市行政の異常な体質を広く知っていただき、
身近な問題として考えていただいて市のあり方を改めていくことに努め、習志野市政がかかえる様々な問題も
提起して行きたいと考えます。
この間皆様からいただいたご支援、心のこもったメッセージやサポートに心より感謝申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。
※「ユニオン習志野」が不当労働行為で争っていた申し立てが全面和解しました。
(3/27朝日新聞ちば首都圏版)