10月2日付日経BPの記事に大久保地区再編に関する宮本市長のインタビュー記事が載りました。
ワークショップが開かれている最中に宮本市長は財源確保、財政負担軽減が前提ということで
施設を従前の通り残さずこのワークショップで集約しその上で施設跡の活用を検討するというもの
と方向付けしています。
何回も説明を繰り返すといいながら、一方では多くの知らない住民が多数いることも触れていません。
この記事を見ていると結論ありきとも思えますが。
この記事の市長の主旨について翌日(3日)に開催されたワークショップでも質問が出たそうですが
行政は返事は、このワークショップはあくまでも「廃止施設を、行政の財政支援無しで、利活用する方法」
を検討してもらうとし「市長の言う『理解をしてもらう』ことは別に会合を開催する」とのことだったそうです。
ワークショップでの議論はどう活かされるのでしょうか。
下記日経BP10月2日付記事より転載
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/15/433746/092800010/?P=1
自治体トップが語る
公共施設の再生は「財源確保」の視点で
公共施設等総合管理計画や公共施設白書を作成し、各地の自治体はいよいよこれから施設の統廃合や
再配置を進めるフェーズへと移っていく。
全国でも先駆的に公共施設の統廃合、再配置に取り組む習志野市の宮本市長に、公共施設再生についての考え方を聞いた。
―京成大久保駅前に立地する既存の公共施設(大久保公民館・市民会館、大久保図書館、勤労会館)
と中央公園を一体的に再生するという「大久保地区公共施設再生事業」が進みつつあります。
取り組みのきっかけを教えて下さい。
大久保駅前の古い市民会館(1966年完成)をどうするかという問題がスタートだったのですが、
そこからいろいろ調べていくと、多くの施設の更新時期がちょうど近づきつつあることが分かってきました。
図書館のあり方を見直したい、ということもありました。自治体の図書館整備は大きく二つのやり方があります。
いわゆる一極集中の中央図書館をつくるやり方と、分散して図書館を設置していくやり方です。習志野市の場合は、
両者のハイブリッド型ですが、どちらかというと分散型で、どこの図書館も中途半端だと言われていました。
生涯学習という観点も含めて、新しい図書館は中央図書館として機能を強化していきます。
また、大久保駅は賑わいのある駅ですし、駅の北側には大学があり、学生がたくさん集まってきます。
でも市民会館は南側にあって、ちょうど駅で分断されているので、相互乗り入れできるような場をつくれないかと
いうことも考えました。
大久保地区公共施設再生事業の概要
京成大久保駅前に立地する既存の公共施設(大久保公民館・市民会館、大久保図書館、勤労会館)と中央公園を、
リノベーションやPFI/PPPにより一体的に再生するというもの。
これに伴い、近隣に立地する屋敷公民館、生涯学習地区センターゆうゆう館、藤崎図書館、あづまこども会館の
4施設の機能は駅前の公共施設に集約する。集約時期は2020年度を予定している(資料:習志野市)
――「(仮称)大久保地区公共施設再生基本構想」(2015年5月)では、施設と公園を一体的に運営する、民間の
「統括マネージャー」を置くことになっています。この「統括マネージャー」には、どのような役割を期待していますか。
集約した施設を民間の発想で管理してもらいたいと思っています。具体的な役割の検討はこれからですが、
そこで行われるサービスがお互いに切磋琢磨できるような関係を常に整えてもらうというイメージです。
施設が完成した後ではなく、その前の段階から参画してもらうという想定です。
今は、発想であるとか、アイデアといったことが非常に高いレベルで市場に乗っていますよね。
こうしたクリエイティブな分野というのは公務員が苦手としているところなので、そこの部分は民間の
専門家にやってもらおうということです。
施設跡の利活用を市民ワークショップで検討
――機能集約に伴って、周辺で廃止する施設も出てくるとなると、やはり「各論反対」の意見も出てきそうです。
その気持ちは私もよく分かります。説明を聞いて「分かったよ」と言ってもらえても、次の日にはまた
「でもやっぱり(残してほしい)」ということになったりもしますが、それは当然のことだと思っています。
何回も説明を繰り返していくしかありません。
――統廃合で使わなくなる施設跡の利活用については、これから市民との対話をしながら決めていくそうですね。
ワークショップを開いて話し合っていきます(編集部注:インタビュー後、9月26日から3回にわたり実施。関連記事)。
ここで重要なのが、あくまでも財源確保、財政負担軽減が前提だということです。
施設を従前の通り残すということにはなりません。このワークショップは、なぜ集約しようとしているのかを理解
していただき、その上で施設跡の活用を検討するというものです。
さらに言えば、新たな財源確保ができるような利活用案であれば、ぜひ進めていただきたいと思っています。
――「習志野市公共施設再生計画」(2014年3月)では、今ある公共施設について、将来にわたってすべてを
維持できないということをデータに基づいて説明しています(※)。
行政への新たなニーズ、提供しなければいけないサービスは目白押しです。これを止めてはいけない。
財源を確保していかなくてはいけません。公共施設再生というのは、まさに財源確保に資するものです。
まず維持管理コストなどを統廃合や集約で大幅に圧縮します。その圧縮した分をほかに振り分けることができます。
それに加えて、新たな施設や統廃合した施設跡で民需を喚起することで、そこからもたらされる雇用であったり、
あるいは企業活動全般的による経済効果によって税収が入ってくれば、これも新たな財源確保ということになります。
歳入、歳出を別々に切り分けて見るのではなく、財源をいに確保するかという見方が大事です。
※ 現在保有する公共施設の再生整備について、2038年(平成50年)までに必要な事業費を約965億円(年平均38億円)と試算。
ケース1(現状比74%)とケース2(同と71%)の再生案を示している。
25年後の2038年までを見通す
――習志野市では、かなり早い時期から公共施設の管理に取り組んできました。2009年3月には
「公共施設マネジメント白書」を作成・公開しています。
前市長(荒木勇氏)の時代からの取り組みです。
当時、私は市議会議員という立場でしたが、重要性は非常に感じていました。
習志野市は県内で2番目に面積が小さな市なのですが、にもかかわらず非常にたくさんの公共施設があるんです。
他市に先駆けて導入してきた公共サービスが非常に多く、それに準じて公共施設も多くなっていったのですが、
こうした公共施設が一斉に老朽化してくるということは肌で感じていました。
――「習志野市公共施設再生計画」では、2014年から38年までの25年間を3期に分けて、市内の地区別・公共施設の機能別に、
長期的な計画を立てていますね。
1期目に関しては、「(仮称)大久保地区公共施設再生事業」もそうですが、具体的な計画です。
2期以降は計画というより「構想」の段階です。2期は「見直しの可能性あり」という段階の計画を示し、3
期に関しては「検討の時期の明確化」を行っています。
なぜ25年後のことを考えるのかというと、ある程度“予報”がないと、ちゃんと準備ができないからです。
「習志野市は財政環境がいいのに、なぜ今、公共施設再生計画で市民がしわ寄せを受けなければいけないのだ」
という声もあるようです。でも、お金はあっても使い道は決まっているのです。
つまり財源の余裕はないということです。
厳しいご意見もいただきますが、公共施設再生計画は、間違いなく将来的なサービスの維持・向上につながっていく
施策なので、コツコツと進めていきたいと思っています。
何も対処しないまま将来本当に財源が干上がってしまったら、通常の行政サービスができなくなってしまいます。
そうなって一番痛手を被るのは市民です。そうした中で、公共施設再生の取り組みを通じて、市民生活全般に関わる
これからの新しい公共のあり方について発信していきたい、という気持ちも持っています。