Blog満賊亭

少欲知足をモットーに日々の満足を追求していくブログ

おっ 江戸でござる

2014年01月13日 | サブカルチャ(鬼平編)
最近、高速道路SAの質が半端ない。
ひと昔前は、あくまで休憩場所。
仕方なく食事を済ませる場所であったものが、今やご当地グルメに限定のお土産などなど。もはや寄るだけのところではなく、目的地のひとつになるほどだ。各地域の特色を打ち出し、上下線に差を設け、行きも帰りも寄ってもらおうと手ぐすね引いて待っている。

2012年度のNEXCO中日本が扱う
18路線178サービスエリアにおける営業利益は420億円にものぼる。新たに開通した新東名においては
「駿河湾沼津SA」
「清水PA」
「静岡SA」
「浜松SA」

の平均滞在時間は約40分にも上り、人気の高さがうかがえる。

昨年12月に東北自動車道の羽生PA(上り)に誕生した新たなテーマ型PAが誕生した。
その名も「鬼平江戸処」
PAの外観がこの通り!なんでも文化文政時代の日本橋大通りをイメージしているそうな。

フードコートの天井は空となっており、ライトで昼夜演出する仕掛けが施されている。聞けば四季に合わせて音響効果も導入する予定らしい。

江戸の情感を出すために、売り子さんは皆江戸の装束をまとっている。照れくさそうだが客引きの言い回しにも工夫している。これはぜひご年配の方にもエキストラとして働いてほしい。

鬼平フリークをくすぐるしかけとしては目玉の軍鶏鍋屋五鉄のほか、ほとんどが鬼平作品に登場する店屋である点!
蕎麦屋本所さなだやうなぎ屋忠八などなど、とことんこだわっているわけ。更に秀逸なのは、外観に使われている店の屋号。こちらはなんと作品中、盗賊に押し入れられたお店なのだ(笑)

…これはおそらく引き込み役(売り子)に誘われて、ふところ銭と心を盗まれるといった仕掛けに違いない。

さぁお目当ての五鉄へ向かおう。人をかき分け進むと、おなじみの看板が目に入る。

こちらが券売機。メニューには当然、軍鶏鍋の文字。これを食べなければ始まらない…
あ、一本饂飩まであるではないか!これ…待ち時間大丈夫?

心配をよそに発券後待つこと4分。
「へいお待ち」とあっという間に軍鶏鍋と一本饂飩がでてきた。いくら手の込んだ造りとは言え、ここはSA。速さを要求されるため、事前に煮込んであるわけね。まぁ、そりゃぁそうだ。

これが一本饂飩。

鬼平犯科帳の中でも異色の作品「男色一本饂飩」に出てくる名物料理。火付盗賊改方の同心、木村忠吾の大好物として登場する。作品の一本饂飩は柚子や摺胡麻、葱などの薬味をあしらった濃いめの汁でいただくというものだが、お茶目な同心の木村忠吾がタイトル通り気の毒な展開(男色の盗賊に誘拐され襲われかける)となり、最後には一本饂飩を見るのも嫌になるという話なのだが…話の落ちは置いといて、こちらの一本饂飩も作品同様、親指大のうどんがとぐろを巻いている。

おっ…重い。うどんというより、すいとんだねこれは。出汁を吸い込んだ饂飩に温泉卵を絡ませていただく。まぁ想像できるお味。

続いてメインの軍鶏鍋。こちらのお店、軍鶏鍋の老舗「玉ひで」が運用しているので、あらかじめ煮こんではあるが、歯応えの良い軍鶏肉のブツ切り、鶏の臓物ときんかんが入り、醤油ベースのしっかりしたお味はささがきごぼうのアクセントも効いて充分満足できるものとなっている。
残念なのはSAゆえ、お酒が置いていないこと。作品の世界を堪能するのならやっぱり燗でしょう。お茶でも構わないのでお銚子がほしいかな。

五鉄のなかはこんな感じ。なかなか雰囲気出ているでしょう?

お腹が満たされた後は、お土産。ベタなものには目もくれず、やはり気になるのは作品関連の品。

珠玉のお土産のはこれ。「桐屋の黒飴」これは「江戸名所図絵」にも登場する実在した目黒の飴屋さん。平蔵の妻である久栄の好物でもあり、他の池波作品(剣客商売藤枝梅安)にも登場する由緒ある飴なのだ。

その他、タコの代わりに軍鶏肉を入れた軍鶏焼き(看板から焼き鳥と思うのだが…)や、葛きりなどなど、江戸情緒を堪能できるものが多くちりばめてある。

ぶらりと寄っても楽しいSAだけれど「鬼平犯科帳」を読んでから尋ねると数倍楽しめますぜ。

■羽生SAまで
東京から向かう場合、下りの羽生SAを通り越し、館林ICを下車。上りの羽生PAとなる。片道所要50分。一般道からは入れないのがちと残念ではあるが、鬼平作品を読んだことがない方でも充分楽しめる作りになっている。


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