院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

松田直樹選手とAED(補遺)

2011-08-09 19:40:00 | Weblog
 10分間、血流がないと脳は非可逆的ダメージを受ける。だから、サッカー場にAEDがあったとしても、取り付けるまで心臓マッサージと人工呼吸をしなくてはならない。

 サッカー場にいた人に、それができるだろうか?心臓マッサージに一人、人工呼吸に一人、AED取り付けに一人、合計三人必要である。素人が三人集まってこのような連係プレーができるだろうか?

 人工呼吸はマウストゥマウスでしなくてはならない。アンビューバッグという手動の風船のような人工呼吸器があるけれども、サッカー場には置いてないだろう。

 つまり松田選手は救ける手立てがなかったのである。それを「AEDさえあったなら」という言い方をするのはフェアではない。

 昔、精神科病院に勤めていたころ、ある入院患者さんが首吊り自殺を図った。看護師が見つけてすぐに降ろしたが、心肺停止状態だった。たまたま私しか医者がいなかったので、私が心臓マッサージをした。看護師の一人がアンビューバッグで呼吸を確保した。30分ほど心臓マッサージをやったところで心拍が再開した。呼吸も再開した。

 そうしてから、近くの総合病院に患者さんを搬送した。しかし、その患者さんは意識が戻らないまま一週間後に死亡した。

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