院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

漫画「ブルージャイアント」が面白い(その3)

2014-12-20 06:04:51 | 漫画
   (小学館刊。)

 この漫画の題名もそうですが、モダンジャズにはよく「ブルー」という用語が出てきます。マイルス・デビスには「カインド・オブ・ブルー」、ジョン・コルトレーンには「ブルートレイン」という題名のLPレコードがあります。

 この「ブルー」とは「気分がブルー」の「ブルー」です。すなわち「ブルース」の「ブルー」でもあります。「ブルース」は黒人霊歌をルーツとする12小節の楽曲形式で、特有の音階、ブルーノート音階で演奏されます。ブルーノート音階とは、演歌の47(ヨナ)抜き音階(ペンタトニックスケール)にソ♭を付け加えたような音階で、このソ♭をブルーノート(悲哀な音)といいます。ブルースはモダンジャズにも大いに取り入れられました。青山のライブハウス「ブルーノート」の店名は言うまでもなくここから来ています。

 主人公が「ジャズはハードで熱いものだ」と述べるシーンがあります。それはそうなのですが、「ジャズは悲哀(ブルー)だ」とも言えるのです。この漫画の推薦文を書いているグラミー賞ジャズピアニストの上原ひろみさんは「ジャスは殺気だ」と言っていますが、なるほどそうとも言えますね。

 いずれにせよ、ブルーノート音階には悲哀感があります。(それは虐げられた黒人霊歌から出てきたからだという説がもっぱらですが、私はこじつけだと思います。古代ローマ時代以来、虐げられた民族は黒人奴隷だけではありませんから。)

 その後、ジャズはギリシヤ音階テンジョンノート(緊張の音)を採用して洗練を重ね、そこに生まれたサウンドこそがモダンジャズの特徴だと言われるようになりました。

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