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森光子の放浪記

2012年11月15日 | ライブ・公演・舞台

森光子さんが、亡くなられたと昨日公表されました。 

我らがジュリー様と同じ高校、ともに中退で、2人で出演されたNHKのビッグショーは、とても楽しい番組でした。 有名な「時間ですよ」は私は見ていませんが、久世さん演出じゃ無かったですか?その後が「寺内貫太郎一家」になります。 私の記憶に残っている森光子さんは、昔昔 1968年のNHKの大河ドラマ「龍馬がゆく」の寺田屋お登勢かな。フルっ!

「放浪記」は森さんが1961年から演じつつけていた作品ですが、私は2008年の大阪公演を見ました。 かねてより名作の誉れも高く、何十年も再演を重ねた作品だから、良いものに違いない。一度は見てみたいと思っていた。 大阪で公演があればと待っていて、2008年に大阪フェスティバルホールであると知り、申し込みました。フェスは2800人近くも入る大きなホールだから、大き過ぎて後ろの席じゃ見えないかも・・ と不安だったけど、この機会を逃したら、もう見られないかもと思った。 なにしろ森さん、当時で88歳です。 

TVで見る森さんは、80代でもお元気ではきはきして、にこやかで 若々しく、いつまでも綺麗で変わらなくて凄い・・・と思っていたのだが、88歳当時はさすがに、TVで見かけても、何やら目が虚空を彷徨っているような時があり、声も弱弱しく聞こえる時があり、さすがにちょっと、歳をとられたように見えたが、とにかく一度は見ておかなければと思いました。

そしたら、なーんと!席は5列目の中央!!ジュリーでこんないい席は近頃、フェスで当たった事が無い。 三谷幸喜の「オケピ」をフェスで見た時は、凄く遠い席だったけど、5列目なら凄くいい席!と喜び勇んで行きました。そしたら・・・

5列目なのに、舞台が遠~い!

ジュリーなら舞台の前で歌うから、5列は近い。いい席なのに何故舞台が遠いの?答えは舞台の一番奥にセットが組んであったから(‐”‐) 実質、10列目くらいの遠さだった・・・ 何も、あんなに舞台の奥底で芝居せんでも。 そのせいか、台詞の声も聞きとりずらかった。お歳のせいか森さん、かなり声が小さくなられてました。 後方の席の人は聞き取れたんだろうか? もしかして、近くで姿を見せたくないんじゃ?と勘ぐりました。

有名なでんぐり返しは、ドクターストップがかかったと、この公演から中止になりました。残念じゃー 代わりに万歳三唱になったのよ。でんぐり返しに間に合わなかった。

作品は作家の林芙美子の一代記ですが、さすがに何度も上演される作品だと思いました。 カフェ―の女給時代の非惨と悲哀、男に捨てられ、でも作家として がむしゃらに成りあがろうとする姿、功なった時の世間への態度など、そのどれもが観るものが共感に値する姿で、最後まで飽きさせない舞台の内容でした。 

しかし、大丈夫か森さん?と観る前に危惧していたのは、当たっていた。 88歳で娘時代から演じるのよ、親役の俳優さんより年上。 若い娘なのに、手がぷるぷる震える。どこを見ているのか、視線が空を彷徨う。見ていて痛い。台詞は2000回近くもされたんだから ちゃんと出るけど、声が小さく弱弱しく、一拍遅れ気味。 女給時代の台詞など、若い頃ならきっと威勢良く歯切れよく、ぽんぽんと台詞が出たに違いない。 

作家として成功した終盤も、とても良い見応えのある場面が続くのだけれど、昔の森さんならもっと大きな芝居をされたんだろうな。 威厳に満ちた芙美子だったんだろうな・・・、昔の森さんで見たかったな・・と思いながら観た。

もっと森さんが若いうちに観に行きたかった。 TVで「この役を誰にも渡したくない」と語る森さんを観た。その気持ちはよーくわかります。 女優として一生離したくない役でしょう。それほどの作品だった。 

でも、本当はあの年齢までやるべきじゃなかった。 本人の強い希望があっただろうし、何よりお客さんも来るし、制作側の方針もあるのでしょうが、2000回にこだわらず、本当はあの役は、ある程度の年齢で もう降りるべきだった。 昔は知らないが、あれを完璧な舞台とはいい難い。 やはりある程度の完成度を保てなくなれば、勇気を持ってやめるべきでは。 お客が来るからそれでいいというのは、おかしいんじゃないのでしょうか?他人から引導を渡されない限り、幕引きを自分で決めるのは難しい・・・ 

しかし「放浪記」は完成された作品なので、必ず何年か後に次の若い女優で再演されるのじゃないかな? 私の予想では、二人のしのぶのどっちかだと思うんですけど、どうでしょうか?? 

ともあれ、文化勲章、国民栄誉賞と、日本国民としてこれ以上ない最高の勲章と栄誉を手に入れ、最後の最後まで主役であり続けた女優は他に誰もいません。大往生、誰よりも幸せな役者人生をとげられたと思います。合掌 言いたい事言ってすいませんm(__)m


  • 2012年11月15日

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