長生き日記

長生きを強く目指すのでなく良い加減に楽しむ日記

562 『匂いむらさき』

2018-03-29 23:07:10 | 日記
浦部みどり歌集 角川書店 2018年3月刊
かりん所属の福岡の方で、まだお会いしたことはないかな。1933年生まれというと僕の一回り上の酉年か。かりんでは最近このあたりの年まわりの方の歌集出版が続いている。浦部さんはかりん入会は五年前だが若い時から他の結社などで詠み続けてこられた様子。戦争に行かれた父上、夫ときり盛りした戦後の暮らし、夫や身近な方を見送り静か?に生きる毎日をきめ細かくうたっている。同じ年頃の僕の姉は短歌をしないが、こんなことを思っているのかななど、参考になるような気がする。所属結社時期ごとに章立てされている。かりんの歌をますます増やしてください。

寄り難き父のイメージ変えたりしかの遠き日の父の文もつ
戦いの野に摘みしとて押花を作り短歌(うた)二首書き添えありき
今もなお無念の涙沁みるなり松下村塾柱の刀痕
明日に何賭けんとするやしまい湯に足袋のよごれを丹念に洗う
あくがれの書を持つ手もて生臭き魚を夕餉のために買いたり
飲みほせるラムネの壜を振りたれば遥かな過去が近づいてくる
春の陽ののどかな庭のひと処踊り子草の淡きくれない

千六本にきざむセロリー今風に豆板醤(トウバンジャン)で味付けをせん
入院の長びく義兄を見舞わんと「なの花」とう名の菓子を選びぬ
筑紫路を行けば思わるその上の勤労奉仕の寒の麦踏み

「これからもよろしく」なんて言いし夫金婚祝いて逝く一年後
LED日本で生まれ世界中を明るく照らすここシャンゼリゼ
夏えびね夫との旅の能登みやげ思い出語れずしろじろと咲く
袷(あわせ)着る前のひととき「セル」という着物を着たる初秋のありき
旅に出し一週間に黄の花序の盛りとなれり金水引草



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