長生き日記

長生きを強く目指すのでなく良い加減に楽しむ日記

477 ロゲルギスト

2017-06-05 22:44:31 | 日記
  さっき、昨日朝のNHK短歌のビデオを見ていたら、永田和宏さんの担当で、入選歌の中に、バスタブの栓を抜いた時の渦の回転方向についての作品があった。渦が発生するときの回転が、北と南半球で違うのが、地球の自転の関係で働くコリオリの力の話題を下敷きにしている、やや知識のかった作品だった。下の句をどういっていたか忘れてしまったのだが、たぶん理解していらっしゃったのだろう。永田さんは正しく、小さな渦では決まらないのですよねと指摘しておられた。そう、この話は僕が大学はじめのころ科学雑誌「自然」(中央公論社だったか)の科学エッセイで物理グループのロゲルギストが書いていた。うろ覚えだが、はじめあるメンバーが南半球のホテルのバスタブで右巻きの渦を見てコリオリの力を感じた、と書いたら、翌月号でそんな小さいレベルではコリオリの力は決定力がないはずだと別メンバーの指摘があったのだったか。僕がコリオリの力を知ったのはこの時が初めてだった。そうか、科学的に考えるときは冷静に判断する必要があるのだなと思った記憶がよみがえった。今回の短歌作者さんも「自然」を読まれていたのだろうか?。
  コリオリの力が決定的に働くにはやはり台風などの規模の渦が問題となるのだが、後年、大きな湖のゆったりとした流れ(湖流)でも働くことを知った。が、そういう物理は専門でないので自分で扱ったことはない。二月ほど前、宍道湖の湖水流動でも少し影響しているようだとのシミュレーション結果を聞いた。
  当時、この「自然」と岩波「科学」、そして「タンパク質・核酸・酵素」(共立)が学生にも専門家にも共通して読まれていて、良い時代だったのだろうと思う。あ、岩波の「生物科学」も良かったがやや癖があったか。