ケータイの特集。携帯電話も刈り取り期=標準化・モジュール化・オープン化の時期に入ったのかもしれない。そのような携帯電話/無線通信の動向を示す典型的な事象としては、次のものがある。
- インターネット網を用いれば、Skypeと無線LANルータを用いてIP携帯電話は無料になる。
- 3G携帯電話網を構築する場合にも、世界標準の技術を使えばドコモの初期投資額の三分の一の投資でスタートできる。(イー・モバイル)
- PHSの基幹部品をパッケージ化したカード(W-SIM)を利用することによってバンダイも子供用電話に参入した。(ウィルコム+バンダイ)
- あるいは、MVNO(仮想移動体サービス事業者)の道が開かれ始めている。
つい数年前、i モードが開発された頃は、いずれも最新テクノロジーであった、
- サービス
- 端末
- 課金システム
- 通信網
これら4つのレイヤーの開発が高度に連携しながら i モードというシステムが生まれた。しかし、それも今は昔、今はそれぞれのレイヤーが成熟化、コモディティ化しつつあり、高度な最新技術やインフラを自前で持たずとも参入可能な事業になりつつある。
携帯電話の事業は、事業のライフサイクルで言えば、「立ち上げ期」、「市場展開期」を過ぎて、「刈り取り期」に入ったのではないか。今後さらに技術の標準化、モジュール化、パッケージ化、オープン化が進み、運用の徹底的な効率化・コストダウンを進めていく段階に入ったのではないか。そして通信会社の事業の核は、
- 料金センターの運営
- 通信インフラの維持・更新
に移っていくのではないか。そして、先端の技術者は、そろそろ携帯電話事業から、ユビキタスを中心とする企業向けシステムや社会システムの技術/事業開発に移っていく時期なのではないか。そして、これから就職する人は、自分は本来どのレイヤーの人間なのか、ということをきちんと見極めた上で就職しなければならないのではないか。
◆
しかし、通信会社がインフラ供給事業になったら、通信会社自ら最終ユーザーを囲い込みユーザー1人あたり月額数千円の料金をとっている現在のビジネスモデルが崩れてしまう。
だからNTTは、付加価値の高い次世代通信ネットワーク(NGN)への移行を、NTTグループ全体を上げて推進していくヴィジョンを打ち出している。
KDDIも、小野寺社長は本記事のインタビューの中で、「通信会社の競争はますますサービス競争になる。通信料収入が伸びにくくなれば、ワンセグ放送を利用した次のビジネスなど、通信料以外の収入をどう増やしていくかが勝負になる。」・・・ということを強調している。
しかし、新しいサービスを開発・提供するのは、(例えば)アップルやセコムやベネッセなのであって、通信会社ではないのではないか、という疑問が残る。