デジタル家電の価格低下の中、大手電機の決算が厳しく、大手11社体制の決算は2006年3月期が最後になるのではないか、といった予測が紹介されている。業績の二極化が顕著であり、松下電器産業とシャープが勝ち組となっている。中長期的な生き残りのためには、各商品分野の一位、二位になれない事業は売却や撤退を考えざるをえなく、事業の買い手としては中国及び韓国企業が有力であるともいう。その中で、ウォルマート・ストアーズ向けのAV機器販売で急成長した船井電機が買収の動きを起こすかもしれない、ともいう。
さて、ここで勝ち組として名前の上がった、松下電器、シャープ、船井電機とも、戦い方が明確であり、この数年間、強烈なヴィジョン・戦略・リーダーシップのもとに、全社を挙げて経営資源を集中的に用いてきた会社である。勝てる商品を選び抜いて、その商品特性の強化、そしてその市場への周知に徹底した集中をしている。(松下の場合には事業部を廃してリソースを統合、松下電工も配下にしたことも見逃せない。)
その戦い方のアプローチは、それぞれの業界でのポジショニングを反映しているとしても
- 松下電器は、ITを活用したサプライチェーンの仕組みと、それを活用するスピーディな世界的な商品投入とマーケティングにより、
- シャープは、液晶技術への集中投資により、
- 船井電機は、トヨタ生産方式を取り入れたコストダウンの仕組みにより、
・・・いずれにしても、一点突破のためにリソースが集中投下されている。事業別に業績責任(たとえばEVA)を与えつつ分権化するであるとか、事業のポートフォリオによってリスクを分散する、といった発想ではない。
グループ経営も、これまでのような事業ポートフォリオを管理する事業部制の発想は最早稀になり、これまでに存在した事業や商品の壁を打ち破って、全社資源を横断的に用いて、勝てるところにリソースを集中化するための、融合のためのグループ経営の時代になっていることは明らかであるといえよう。
融合した中から、新しい価値を商品やサービスとして見出していくリーダーを見出していく、そのような人事・組織運営のあり方はどのようなものか、ということを考えてみたい。