人材マネジメントの枠組みに関するメモ
半蔵門オフィス 過去ブログアーカイブ
 



ケーブルテレビの最大手、ジュピターテレコムが20年間の赤字運営の末、2003年より黒字転換し、さらに小売事業等とも連携し、テレビ通販事業などの新たな切り口を加えて、ウェブ・ビジネスという大きなビジネストレンドの中で重要な位置づけを占めるようになってきたことが描かれている。

この間には、「商社冬の時代」もあったし、EVA等の事業別の業績評価指標を導入することで事業撤退基準を明確にしながらリストラが進められた時代もあった筈である。その中で撤退することなく事業を育ててきたことに感銘を受けるとともに、何故それが可能であったのだろうと思う。

個別ビジネスをできるだけ独立させ、それぞれの事業の単体としての競争力を高め、投資に対するリターンを得る、という業績管理モデルの中では、ビジネスを存続させる理由の説明が難しかったであろう。通信事業など固定費負担のかさむ事業は、単年度ベースの企業会計で業績を測定することになじみにくい。通信事業には、減価償却費も金利負担も無視したEBITDAが重視されるなど、独特の事業管理、投資管理ノウハウがある。早くから海外のノウハウを導入し、世界的なベンチマークの中で事業を進めてきたことが成功の要因ではなかったかと思う。

もしかしたら、単に、「ビジネス間の相乗効果」を強調しながらビジネスを温存させていく、旧き商社の体質の結果であって、それがかえってよかった、ということももしかしたらあるのかもしれない。(住商出身、サミット最高顧問の荒井伸也氏の小説「ライバル」には、そのような、商社の中における事業観の相克が語られていたことを思い出した。)

そうこうするうちに時代は変わり、事業の殻を打ち破って、TVとインターネットと小売の融合など、融合させながら新たな価値を生み出していく時代に入った。

住商の岡素之社長は、最近、経営幹部の前で、事あるごとに「総合」という言葉を口にするという。

そこにおいては、今度は、相乗効果の実効性を高めるための、事業横断的に融合を進めるための場(住商の場合には「ウェブ・ビジネス戦略会議」)、そして、横断的なビジネスに対するヴィジョン、が必要になるだろう。住商が、三菱商事や三井物産に比して、BtoCに強みを有してきたのならば、生活インフラ構築産業として、事業ドメインを位置づけるなど。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 2006/01/09号... 2006/01/09号... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。