人材マネジメントの枠組みに関するメモ
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オラクル社は、近年、ピープルソフトを初めとする大型の企業買収(ライバルとなるようなソフトウェア会社の買収)を成功裏に重ねてきた。大型の企業買収に成功している要因は何か?買収先の従業員がモラールダウンし、たくさんの離職が発生する、・・・ということにはならない理由は何か?

ラリー・エリソン氏の回答は明快である。

「買収したソフト企業の既存顧客のサポートに力を入れること」
・・・これである。
「オラクルに買収されたらサポートが良くなった」「値段が上がらない」「いいアドバイスをしてくれる」
・・・と顧客に思われることが目標である、とのことである。

企業買収においては、どうしても組織内部の問題解決に目が向きがちである。新しい組織において人をどうマージするか、企業文化をどう統合するか、ノウハウをどう統合するか、・・・。そして、買収側も、被買収側も、「征服者シンドローム」と戦わなくてはならなくなる。(買収側は、優越感を滲み出させてしまわないように、という自己との戦い、という意味において。)

それに対して、「被買収先企業の先の顧客の満足度に焦点を当てよ」というメッセージは新鮮である。そのことによって、必然的に、組織の問題も解決するだろう。顧客を大切にすれば、被買収先企業の従業員をどのように扱うか、どのように組織を統合するか、ということについても答えが見えてくるだろう。

また、わかりやすい。「何を見るべきか」、「何を考えるべきか」、従業員に対しては明快な指針だろう。(この、わかりやすいメッセージ、ということは大切である。)

しかも測定も可能である。「既存顧客の維持率」「既存顧客の満足度の変化」といった計測指標を設定しうる。実際、インタビューの中で、エリソン氏は「ピープルの既存顧客の契約更新率は96%にも達しました。」と具体的な数字をあげて語っていることがすごいことであると思う。


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