新聞に記事が載らない隠れた優良企業160社を抽出し、マネジメントの特徴を取材した記事である。地方/中堅/シェアトップ企業の割合が多い。
さて、それらの優良企業に共通するマネジメントの特徴は何であろうか?何よりもまず、コミュニケーションの基盤作りにトップが意を砕いている、ということが挙げられると思う。次のようなイメージ。
- チーム独立採算制度 (ミニミニカンパニー、アメーバ経営など)
- コミュニケーションフォーマット確立によるコミュニケーション効率向上
- コミュニケーションの短サイクル化 (週次サイクルマネジメントなど)
- マーケット情報の吸い上げと経営意思決定への反映 (顧客からの製品改良要望レポートに経営者自ら目を通し、できるだけ試作につなげさせるなど)
- 経営者から社員へのフィードバック (週次社長メールなど)
このように、経営改革はコミュニケーションインフラ(ITシステムではない)作りから入ることが定石になると考えられる。すなわち、(ex.営業部門の例)
- まず業績・プロセス管理のポイントと指標を決めて、(ex.図面獲得数)
- データを把握・報告・共有するフォーマットを決めて、(ex.営業進捗週報)
- 仮説・検証のサイクルを毎週・毎月回して、(ex.週間行動目標との比較)
- そこから問題解決ネタや改善ネタを発掘する。(ex.目標との差異原因レポート、顧客要望レポート)
それによって、ビジネスのマネジメントが改善する。すなわち、
- 業績目標達成度が改善する。(ex.予算達成に向けての週次トレース)
- 組織知が共有できる。(ex..「このタイプの顧客にはこの資料で商談が進む!」「顧客からの値下げ要求を飲む替わりに図面をデータでもらう条件にすれば手間は減り真の利益はかえって増える!」)
- イノベーションネタが出てくる(ex.「製品別顧客からの要望一覧」)
さらに、共通のフォーマットで毎週・毎月コミュニケーションのサイクルを回していれば、人材の能力や貢献度が「見えて」くる。
- 想定される行動をとれたか/とれなかったか、ということで、「期待能力水準を満たす人材」と「満たさない人材」とがはっきりしてくる。
- 問題解決テーマや改善テーマの発掘と改善への貢献を通じて、「特に秀でた能力を持つ人材」が浮かび上がってくる。
それによって、従来の階層秩序を脱した、「能力に応じた人材への投資」の基礎ができあがってくる。