人材マネジメントの枠組みに関するメモ
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雇用機会均等法施行後20年を迎えての特集。さて、企業における女性活用、ということについてどのように思いますか?あえて「女性活用」と銘打って女性活用に取り組む背景には、うしろめたさ(男性のうしろめたさは言わずもがな、・・・)、憤り(女性の憤りは言わずもがな、・・・)、そこから生じる(やれやれといった)義務感のようなもの、そしてそこから生じるすっきりしない感覚、がついて回るように思えませんか?そのようなすっきりしない感覚が残る間は、どのみち真剣になることはできないので、従ってうまくいかないことも目に見えているので、あえて取り組む必要はないのではないでしょうか?・・・ということで、メモも書き込まずこのテーマは避けようと思ったのですが、避けるからには(?)、いざ真剣に取り組むための条件を表明しておかなければなりませんね。

女性活用は手段であって目的ではない。では女性活用の目的は何か、その目的が企業目的と直結しており、納得性ある、腹に落ちるものであることが全て、すなわち必要条件であり十分条件でもある、ということになるのではないでしょうか。
特集の副題にも表現されていますが、全ては、組織のパフォーマンスのために、そして生き残りのために本当に必要があるかどうか、ということに拠るのではないでしょうか。本当にそれが必要ならば、女性活用も、そして、その他、あらゆるダイバーシティ(マイノリティ活用)の実現は、自ずから進んでいく筈なのです。

たとえば、ダイエーの林文子会長は、女性を意図的に積極的に登用していく旨の発言をオープンにされていたと記憶しますが、「ごはんがおいしくなるダイエー」であるための当然の方針・施策として、そこには何の動機の曇りも、不合理もありません。
あるいは、P&Gなどグローバルな消費財企業において、(女性活用に限らず、それを超えて)ダイバーシティ推進が進んでいることは知られていますが、「グローバルに津々浦々にまで商品を流していく」ための当然の施策として、理解されます。
そして現在、多様化したマーケット、さらにその先に無数に細分化されていくロングテールのマーケットに向けて、様々なマイノリティの活用が不可欠になっていることは、急速に共通認識になっていると思われるのです。

そして、ビジネスのパフォーマンスの問題であれば、あえて正面切って女性活用ということを振りかざす必要はない筈です。ひたすらビジネスのパフォーマンスで見ていくしかなく、ビジネスのパフォーマンスと女性活用との因果関係をひたすら検証し、パフォーマンス向上のためのノウハウ・ナレッジとして強化していくことが大切になるのではないでしょうか。
そのためには、ビジネスのパフォーマンスに直結するラインマネージャー層に採用・人事の権限を与えていくことが鍵になると思われます。ビジネスのパフォーマンスに対して最もコミットしている人達がどのように女性を使うか、女性を使うことによる成功パターンが明らかになってくれば、自ずから女性活用は推進されていく筈です。(ただしエンジンをかけるスターターとして、一定量の女性管理職を設けてしまうなど当初の最小限の「市場介入」は必要かもしれませんし、それは人事の役割になるでしょう。)

そして、それは、あらゆる企業文化(カルチャー)変革のテーマと何ら変わりはない筈です。たとえば「年功的な意識をいかに払拭するか」「いかに根回しよりもオープンな議論が尊重されるようにするか」「従業員の時間コストに対する意識をいかに鋭敏にするか」といった問題と同じ、企業カルチャー変革の問題になります。そこでの原則は何ら特別なことではなく、企業文化変革、チェンジマネジメントの原則と同じものになる筈です。すなわち、「目的を明確にする」、「危機感を醸成する」、「情報をオープンにする」、「身近な目に見えるゴールを設定する」、「成功体験を積ませる」、「ロールモデルを作る」、「モチベーション(リウォード)の仕掛けを組み込む」・・・等々。

さて、ただし、私個人の主観的な見方ではありますが、「女性活用」ということは、他のあらゆる「ダイバーシティ」の基礎になる、意識的・戦略的に取り組む価値のあるテーマであるように思われます。男性と女性を混ぜておくことで、人の多様性の見え方が異なってくるからです。男性と女性の人口が拮抗している職場は、職場に「セクシーさ」が出てくる、すなわち、そこでは多様性がアピールするようになり、多様性が引き立つようになります。
たとえば、肉体的には男性であるが精神的には女性、肉体的には女性であるが精神的には男性、といった人達も数多くいますが、職場の女性のプレゼンスを高めることで、「男男」「男女」「女男」「女女」など、一人一人の個性と役割が際立ち始め、多様な役割分担が誘導され、組織のポテンシャルが上がっていくように思われるのです。

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