人材マネジメントの枠組みに関するメモ
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有名な、村上龍による子供向けの「世の中にある仕事の紹介」の本。思春期にさしかかった子供が、未来を考えることができるように、とデザインされている。書評では、大人がまず読むべき、そして子供に渡そう、と絶賛されている。

さて、これを、あらためて、買ってきた。2003年の暮の出版だからまだ書店にあるかな、と思ったが、八重洲ブックセンターにはまだ平積みになっていた。(ロングセラーになりつつある。・・・古典にはなるか?)

なぜこれを買ってきたかというと、「ジョブデスクリプション集」のサンプルが欲しかったからである。グローバル競争の中で会社も人もより「濃く」なれるように、社内の「仕事」や「人」を、時間軸(キャリア開発)の中で、空間軸(コラボレーション可能性)の中で、よりよく「視る」ことができるように、仕事をどのように分類・記述したらいいか、そのアイデアが欲しかったからである。

期待に沿っていたことは、子供の将来のために(すなわち、日本がこれから生きていくために)どのように仕事を体系化するか・・・あらゆる仕事を体系化するための視点、言うなれば目的と方法論がまず明確に表明されていたことである。

「子供が、好きな学問やスポーツや技術や職業などをできるだけ早い時期に選ぶことができれば、その子供にはアドバンテージ(有利性)が生まれます。この本は、好奇心を対象別に分けて、その対象の先にあると思われる仕事・職業を紹介しようという目的で作りました。」(はじめに、より)

ただし、仕事の一つ一つの記述内容は、必ずしも体系化的な視点に基づくものではなく、(従って、)十分に掘り下げた記述にはなっていないようであった。(少し安心した。)どちらかというと、作家らしく直感的に、特徴的と思われた現象を叙述しているようである。(逆に、今後定義を深める際の出発点になりやすいかもしれない。)

私も土地勘のある仕事の記述をいくつか見てみたが、一つだけ、目が吸い付いた仕事の説明があった。「作家」である。

「作家の条件とはただ1つ、社会に対し、あるいはある特定の誰かに対し、伝える必要と価値のある情報を持っているかどうかだ。伝える必要と価値のある情報を持っていて、もう残された生き方は作家しかない、そう思ったときに、作家になればいい。」(P.117)

ユニークである。しかも深い。時間軸(キャリア)、空間軸(コラボレーション)、両方の視点から、「含蓄」がある。(展開の余地がある。) この「自らの仕事の記述」については、ジョブデスクリプションの質が、別格であるように思えた。

自ら経験のない仕事を、いかに「理解」し、「記述」するか・・・

自らの仕事をいかにユニークに再定義するか・・・

13歳のハローワーク
村上 龍
幻冬舎

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