(電子部品業界の広報企画記事へのメモ)
部品産業は自社製品のための部品を作るだけではビジネスにならなくなっていると言えそうである。逆に、他社製品に向けて売っていくことで大きなビジネスチャンスが生まれていると言えそうである。いわゆる、モジュール部品とかプラットフォーム部品とか呼ばれる潮流である。
そのように、部品機能をパラメータ化・カプセル化して、商品としてパッケージングすることが志向されるのは、他社にも売ることで最先端技術への投資を回収するためだけではなく、自社の製品開発においても最終製品側の多様な要求に予め素早く応えられるようにしておくことが、製品のシリーズ化や製品開発ライフサイクルの短縮に対応するために不可欠だからであろう。
さて、その中にあって、セイコーエプソンの電子デバイスのブランディングが大変に興味深いものであると思われた。
- 事業ブランドとしての「+less design」(低消費電力化、開発工数・コストの削減、スペースの削減というlessの技術をプラスした設計で顧客の商品開発に貢献)
- 液晶の無機配向技術の「C2fine」や、水晶素材とMEMS技術を組み合わせた「QMEMS」技術のブランド化 ・・・技術の内容とその目的・価値が伝わる。
このように自社技術のバリュープロポジションをキャッチフレーズ化し、ブランド化することは、おのずからから価値の内容を体系的に説明することにつながっていく。部品機能の体系化、パッケージ化とコミュニケーションを先導する、対外的にも対内的にも大きな効果のある、コミュニケーション手法だと思う。
同様の事業ブランディングとしては、シリコンメーカーの東レ・ダウコーニングの「シリコーン・コンシェルジュ」という事業ブランディングとそのイメージキャラクターが、面白くて笑ってしまうとともに、意義が大きいものだと思った。