人材マネジメントの枠組みに関するメモ
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東芝が西田社長になってから、リスクをとる成長戦略に出て、(個別カンパニーではなく)コーポレート主導で、半導体生産設備、原子力発電所建設(ウエスチングハウス買収)などに巨額投資する経営に踏み出していることの総括記事。

これは人事・組織のテーマにはどう影響するだろうか?所謂経営判断の領域であって、人事や組織運営とは少しレベルの違う話題だろうか?

リスクを伴う積極的な投資は、健全な人事・組織運営にとっても不可欠なインパクトを与えると思う。東芝の積極的な投資戦略が、人事・組織運営のレベルでも、電機業界の新しいプラクティス(実務慣行)につながっていくことを期待する。

・・・というのは、多大なリスクを負って投資を決定した事業に対しては、人材を質・量ともに投入せざるをえない。そのことが芋づる式に人の異動を引き起こし、組織の新陳代謝、活性化につながっていくと思うからである。

◆ 

ボトムアップで運営される日本企業の最大の弱点は事業やプロジェクトをストップできないことにあると思う。ある電機メーカーにて、グローバルに見て勝ち目のない研究開発系のプロジェクトが何年も延々と続いていたのを目にしたことがある。その後数年して、まだ続いていることを知って驚いたことがある。

90年代末には「集中と選択」という考え方が浸透してきたとはいえ、いかんせん、管理職の仕事はあくまでも自分達の部下の仕事を守ることにある。あらゆる理屈、あらゆる政治能力が駆使されて、中止されずに続いてしまう。(公共事業と同じである。)

管理職に目標管理等の仕組みが導入されても、目標設定の仕方次第でくぐりぬけることができるし、数字による撤退基準が導入されたような場合であっても、様々な例外規定ですりぬけていってしまう。

絶対に人は自分の失敗を認めたがらない。だからストップするということにインセンティブがない以上はストップしないと考えた方がいい。だから、リソース(人)を外に(他のプロジェクトに)拠出せざるをえなくなるような仕組みが必要だと思う。

◆ 

負けを認めなくてもすむとともに、人を拠出する切迫性が明確であるとともに、しかも外に出される当人にとっては(将来性のないプロジェクトでくすぶるよりも)より高い業績を上げることができるチャンスを提供する、そのような仕組みが必要になると思う。それが、会社を上げてのリスクを負った投資である。

だから、組織の新陳代謝を考える上では、リストラ策を考えるよりも、思い切った投資対象を探すことが大切だと思う。この発想は、東芝のような巨大企業の投資だけでなく、身近なチームやプロジェクトのリストラクチャリングのレベルでも参考になる。



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