人材マネジメントの枠組みに関するメモ
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今や日本の現場を支えているにも関わらず「使い捨て」にされているという外国人労働者の実態を紹介する記事。

最近は地方にはほとんど行かないのだが以前はよく行った。たしかに、地方の製造業や物流センターなどは外国人が支えていたと思う。日系人の集団が多かったが、言葉の壁もあって必ずしもハッピーな光景ではなかったと思う。私も毎日ヘルメットをかぶって製造現場に入り込むようなコンサルティング業務をしていたこともあるのだが、外国人請負労働者はプロジェクトのメンバーには入っていなかった。彼らは黙々と、最もきつい工程の夜勤のシフトをこなしていた。

外国人労働者の活用が成功するためのそもそもの前提として、まだ過渡期にあるところの、雇用形態多様化の実務慣行の確立があると思う。すなわち、

  • いわゆる正社員(期限の定めのない雇用契約社員)のほか
  • 契約社員
  • 派遣社員
  • 請負

等の雇用形態の組み合わせ方のノウハウ(=どの仕事を誰にどのような契約形態でさせるか)が、確立されなければならない。コストパフォーマンス、モチベーション、キャリア形成機会の保証等の見地から、最適解が見出されなければならない。外国人労働者の使用可能性は、その最適解を見出す上での一つの条件として位置づけられるものと考えられる。(同様に、女性活用可能性なども一つの条件になる。)

その解は一つではないかもしれない。しかしいずれにしても、今そうなりつつあることが指摘されているように、弱者に皺寄せがいって最後にカタストロフィー(革命?)になってしまうようなWin/Loseではなく、Win/Win(全員それぞれハッピー)の解でなければならないのである。外国人労働者固有のニーズがあるのだから、Win/Winの状態を作ることができる筈である。Win/Winの可能性と必要条件を考える必要がある。

最近は一時的に正社員化への揺り戻しがあると言われるが、グローバル化とデジタル化によって仕事をモジュール化することが相対的に有利になり、また、企業の一生よりも個人の職業人生の方が長くなってくる中で、大局的にはいずれにしても、社員の「非正社員化」は進んでいくと考えられる。「正社員」比率は、現在60%くらいのものが40%くらいのところまで行く、つまり、「正社員」と「非正社員」の比率が逆転するところくらいまでは行くと考えた方がいいだろう。

そして、その時に、あらゆる雇用形態の従業員がWin/Winになるための条件なのだが、その思考の過程は省略させていただくが、どうやら結論は意外とシンプルなところにありそうである。すなわち、雇用契約形態を問わず、雇用の成功の鍵は、品質や生産性をコントロールでき、指揮命令を行うことのできる「マネージャー」を調達できるかどうか、ということに尽きることになりそうである。

つまり、次が明確になっているかどうか、ということに尽きる。これが意外と明確でないと思う。それがないところで搾取が始まるのである。

  • いわゆる「正社員」のマネジメントは誰が行うか? ・・・これはOK
  • 契約社員のマネジメントは誰が行うか?
  • 派遣社員のマネジメントは誰が行うか?
  • 請負のマネジメントは誰が行うか?

外国人活用に限っていえば、(例えば日系ブラジル人グループであれば)何としても彼らのグループの中からマネージャーを育てて、マネジメントの言葉が行き渡る土壌を作って、それから徐々に雇用を増やしていく必要がある。

そしてマネージャーを育てるのと同時に、業務とマネジメントの標準化、共通言語化、計数化、そのオープン化、見える化を徹底的に押し進めておくことによって、マネージャー育成の負担は相対的に軽くなるだろう。

実は同じことが、女性活用にあっても言えるように思う。女性のマネージャー比率が重要な指標とされるのは、それ自体がゴールだからではなくて、それが女性活用のボトルネックだからだ。



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