ローソンが業績立て直しのために、新しい施策を打ち出しているという。それは次の二本立ての施策であるという。
【新業態】 ブルーローソン(これまでのローソン)のほかに、シルバーローソン(高齢者向け)やナチュラルローソン(若い女性向け)などの、新業態(新型ローソン)を増やす。
【6段階の格付】 店舗を6段階に格付けして、上位の2つの格付けを得た加盟店主のみ、新業態(新型ローソン)に切り替えることができる。格付けは、ミステリーショッパーが抜き打ちで、店員の接客態度、品揃え、店舗の清掃状態などをチェックすることで行う。
加盟店としてこのようなプレゼンを受けたら、大変にわかりにくいのではないかと思うのだが・・・(2つの部門から上がってきた施策を無理やり一つのパッケージにしたような印象を受けるのだが、まさかそうではないでしょうね?)。わかりにくいだけでなく、ロジックが理解できない。それは次の点。
【客観性・透明性・納得性】 新しく格付けを実施して、それによって加盟店の権利が変動する(=加盟権の価値が変動する)としたら、加盟店としてはその格付けに客観性と透明性を求めるのは当然だろう。加盟店主自ら自己診断した結果と本部主導での格付けが一致するようでなければ(=納得性がなければ)加盟店の選別はワークしないだろう。そのような格付けが「ミステリーショッパーによる抜き打ちチェック」方式になるというのが理解できない。
【加盟店主による自己認識】 6段階の格付け基準の内容が加盟店主に理解され、自らがどのランクに属するかということが加盟店主自身に本当に自己認識されるのだったら、それだけで店舗の改善は進み、店舗のレベルのばらつきの問題は解決したも同じだろう。
【相互比較の前提の崩壊】 今後加盟店によっては別の業態をとることになるとすると、(すなわち加盟店の権利が加盟店によって異なってくるとすると、)加盟店間比較の意味が薄れてくるため、「格付け基準」の信頼性はますます低下するだろう。また、他店舗事例やデータを用いて店舗指導にあたるスーパーバイザー(店舗指導員)の指導への信頼性も低下するだろう。
こうしてみると、加盟店格付けと新業態転換を組み合わせた制度は内部崩壊装置のようにしか思えないのだが・・・。施策としてはまず、「店舗格付け基準」あるいは店舗の発展段階のイメージのようなものを、加盟店主に浸透させることに的を絞った方が良いのではないだろうか。