都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

中国不動産バブル(柯隆):中国での不動産のバブルのみならず、国家としてのリスクを論じる

2024-08-11 02:53:13 | 食べ歩き

 経済書かと思ったが、実は国家のリスクを分析している。論理的であり観点に感心した。

 知見は:
・1978年 劉小平の改革・開放政策 1982年の土地の公有制から定期借地権の概念を入れ、1990年頃から土地使用権(住宅では70年間の土地利用の一時払い:我が国では空中権に等しいか)
・地方政府は「融資平台」(投資会社:第三セクター、国有銀行からの融資、社債発行によるさらなる再投資)
・地方政府は土地の使用権の払い下げにより収益増加、入札など地方政府・ディベロッパー、国有銀行による腐敗は不透明性とあいまいな統治
・現時点の不動産救済にもディベロッパーと共産党中枢の関係を忖度
・2021年、習近平「家は住むためのもの」が、それまでの不動産投資キャピタル・ゲイン狙いを打ち消す、20年からのコロナ禍でも供給過剰が判明
・中国の貯蓄率は高い(30%越え)だが、リターンを求め不動産に投資、株は株式市場の合理性が無く紙くずになる
・GDPの3割は不動産関連、住宅ローンの焦げ付きも懸念
・マイホームはステータスシンボル、中国人は自慢しあう、家と車がないと男は結婚できない、若者の失業率は21~46%(統計による)、親に金を出してもらいマンションの頭金を払う
・キャピタル・ゲイン狙いかつ、固定資産税がないため空き家をもち、売却する富裕層が多い、賃貸市場は住宅では発達していない
・都市開発は地方政府の権限と土地使用権の払い下げにより腐敗とイケイケ、GDP成長率により共産党に評価
・都市開発の賄賂は建設費削減に反映、マンションの品質問題になる
・シャドー・バンク(融資平台)は理財商品(ハイリスク)を国有銀行で売る
・中国の情報統制は厳しく、国防費より社会治安維持費の方が予算が大きい
・毛沢東は、飢餓と文化大革命の知識層の殺害により毛死去の1976年には経済破綻状態
・習近平の「赤猫理論」は毛沢東がえり「共同富裕」は経済成長率に支えられてきたが、いまや低下、しかも富は権力(共産党)に集まる、ジニ係数の0.3の危険水域を越え0.47程度になる
・30年の成長があったが、習近平は自由な市場でなく、共産党指導体制堅持の経済統制に向かう
・周の個人崇拝と毛時代のスローガンが復活、独裁政治のなか腐敗撲滅があり疑心暗鬼に
・人材・資金の流失:3年間のコロナ禍対応、民間企業による締め付け、反スパイ法によるサプライ・チェーンの中国離れ、米中対立のデカップリング
・中国は多民族国家、どの繁栄期も40年続かない→とするとあと数年か

 さらに、急速に進む中国の高齢化も指摘されている

 産業・成長率・政治ともに問題を指摘している

 

コメント
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