坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

生のリアリズム ホキ美術館

2012年04月06日 | 展覧会
イラスト的なポップアート調など具象表現は、現代において重要な位置を占めていますが、徹底的な細密描写による対象を再現する重厚な写実主義も人気を得ています。
現代写実派は、言うまでもなく超絶技巧の持ち主で、長い時間の積み重ねにより説得力のある表現へと結びつけていきます。
大きな流れでいうと、アメリカのスーパーリアリズム風の写真的な肉迫、スペインの写実主義の傾倒を踏むヴァニタス画の死を暗示する深い洞察、そして日本的なリアリズムと考えると、人物画ではフェルメールの世界を思わせるような女性の何気ない仕草にポイントを置いた作風に、日本的な間の表現が加味されているように思います。
安らぎや静寂が漂う永遠の時間⋯⋯。写実絵画専門の美術館であるホキ美術館では、開館から1年半を経て、これまでに人気の高かった作品、話題になった作品を集め、野田弘志(敬称略以下同)、礒江毅、森本草介、生島浩ら23作家60点で「現代の写実、ホキ美術館名品展」が開催されます。
気に入った一作がきっと見つかるでしょう。

◆現代の写実。ホキ美術館名品展/5月26日~11月11日/ホキ美術館(千葉市緑区)

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