坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

名画につつまれる贅沢 バロックから近代へ

2011年05月16日 | 展覧会
昨日のNHKの「日曜美術館」で紹介されて内容の充実した企画だと感じました。滋賀県立近代美術館は緑豊かな森の中に建つゆったりと観賞できる美術館です。かなり前になりますが、取材に行ったことがあり、美術教育、普及にも熱心に取り組まれています。
この展覧会では。17世紀、イタリア、スペイン、フランドルのバロック絵画から宗教画や風俗画、19世紀の肖像画や風景など油彩58点が展覧されています。それが長野県在住のコレクターの方のコレクション展ということですので驚きです。バロックとは、「ゆがんだ真珠」という意味で、15,6世紀のルネサンスの美の均衡を歪曲化した構図や力動感あふれる人物構成などを特徴として17世紀美術の潮流を生み出しました。ベラスケスやルーベンスなどが有名です。
本展は、美術史的な側面を持ちながら、これまで紹介されていなかった貴族趣味的な大上段に構えた作品ではなく、聖家族や野外のほのぼのとした子供たちの素顔を描いたピクニック光景やみずみずしい水辺の風景など親しみのある名画ということで、コレクターの方の志向が反映されています。地方にも巡回してほしい内容と思いました。

◆名画につつまれる贅沢 珠玉のヨーロッパ絵画展 バロックから近代へ/開催中~6月12日/滋賀県立近代美術館

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