坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

あなたに見せたい絵があります。

2012年03月03日 | 展覧会
ブリヂストン美術館開館60周年記念の第2弾となる本展は、ブリヂストン美術館と石橋美術館の収蔵品の中から、西洋絵画と日本の近代洋画が合わせて展示される点が見どころの一つです。
近代の絵画では、人物画や人の営みを描いた風俗画、風景画、静物画などが重要なジャンルとなりましたが、本展でも人物画は大きな位置をしめ、画家の「自画像」「肖像画」「ヌード」「モデル」と章を分けて、多彩な人物像が並びます。その他、山、川、海などテーマごとに11のジャンルで構成されます。
風景画の「山」の展示では、掲載のセザンヌの〈サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール〉(1904-06年頃)と雪舟の〈四季山水図〉(15世紀)の雪舟が中国の明から帰国して後に描いた胸中山水図との対比が魅力となっています。
「肖像画」は古来から王侯貴族の似姿を描くことから始まり、近代では富裕階級のリクエストにより大いに繁栄しました。
セザンヌは、依頼で銀行界の娘を描いた有名な肖像画があり、肖像画は収入の糧にもなりました。反面ドがは、親類や友人などを描いた肖像画が多くより私的意味合いをそこに込めました。
このコーナーでは、ギュスターヴ・カイユボットの「ピアノを弾く若い男」(1876年)の作品も出品されます。カイユボットは印象派展に出品するなど印象派の擁護、支援者としても有名ですが、印象派の明るいタッチとは異なり、光の陰影を取り込みながら写実的な堅固な画面が見ごたえがあります。
出品数は、絵画が108点、常設の彫刻や古代美術を合わせて156点が予定されています。石橋コレクションの多様な魅力に触れる機会となります。

◆あなたに見せたい絵があります。/3月31日~6月24日/石橋財団ブリヂストン美術館(京橋)

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