坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

日本のゴーギャン、田中一村の2作品新たに発見

2010年05月29日 | 展覧会
千葉市に20年以上も住み、その後日本画壇と決別して一人奄美大島に渡り、独自の日本画の世界を開花させた田中一村。無名の画家として1977年に69歳で亡くなりましたが、その後テレビなどで紹介され、亜熱帯植物をその精緻で清澄な色彩、独特の構図で描いた日本画はブームを起こしました。榎木孝明さん主演で「アダン」という田中一村の生涯を撮った映画も放映されました。掲載画像は「アダンの海辺」(個人像)です。
一村の専門の調査を進めるなかで、3月下旬に千葉市個人宅で作品2点が新たに発見されました。落款も確かなもので、荷車と農夫を小さく入れた千葉寺の風景と得意の軍鶏図の2作。掛け軸装の縦長の構図は一村作品の中でも珍しいと専門家の中でも高く評価されています。
この作品を含む特別展「田中一村 新たなる全貌」(8月21日~9月26日)が開催されます。同展はその後、鹿児島市立美術館、田中一村記念美術館に巡回。

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