坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

土屋仁応「聞耳の森」

2012年09月18日 | 展覧会
土屋仁応さん(1977年~、つちや・よしまさ)は、現在活躍している注目のアーティストの一人です。
11月中旬から銀座のメグミオギタギャラリーで第3回目の個展が開催されます。
ギリシャ神話のケンタウロスは猛獣的勇ましさをイメージとしてもっていますが、土屋さんの軽やかで神秘的なベールに包まれた生き物たちは、フェアリーな「現代の神話」を投げかけます。
今回の「聞耳の森」と題した個展では、〈いきものたちは聞耳をたてる。なにか瑞々しい兆しを察知している。その姿を刻むことで、私たちが聞き取ることのできない希望の気配を、目に見える形にしたい〉と語っています。
これまで静かに夢をみる獏や人魚から、麒麟へ、そして今回は鹿、ヒョウなどが登場します。
伝統的な仏像彫刻の技法を用いて職人的なまでの仕上がりと質にこだわる一方、独自の彩色を施し新たな質感を獲得しています。
現代彫刻の多様な魅力を感じさせます。

◆土屋仁応/11月15日~12月8日/メグミオギタギャラリー(銀座2丁目)

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