坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900

2014年01月05日 | 展覧会
ラファエロ前派とほぼ同時代に、イギリスでは、ヨーロッパの動向とは異なる芸術の志向が見られました。
19世紀後半から世紀末は、まさに英国美術の黄金期。19世紀半ば、産業革命の成功がもたらした物質的繁栄を謳歌するヴィクトリア朝の英国に、行きすぎた商業主義や功利主義に批判し、美に満ちた生活の重要性を唱える人々「唯美主義者」が登場します。ロンドンに暮らす前衛芸術家の集まりから生まれたこの流れは、彼らが制作活動や生活を通じて新たな美を実現させていく中で、次第に信奉者を増やし、大きな運動を創り上げていきます。
本展は、英国ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館を所蔵作品を中心に、約140点の油彩画や水彩画、素描、家具、工芸、宝飾品から構成します。ラファエル前派を率いたダンテ・ゲイブリエル・ロセッティからアルバート・ムーア、ビアズリー、オスカー・ワイルドにいたるまでの前衛芸術家が探し求めた独創的な美の深淵に触れることができます。イギリスの文化的土壌の豊かさを感じさせます。

◆ザ・ビューティフル 英国の唯美主義/1月30日~5月6日
 /三菱一号館美術館

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