坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

トゥールーズ=ロートレック展

2011年11月11日 | 展覧会
きょうは、寒い雨の日となりました。こんな日は、特別な取材がない限り、家で原稿を書いていることが多いのですが、所用もありコートを着て出かけました。
美術展を予告するポスターが駅構内を飾っているのは、よくご覧になっていると思いますが、東京駅では、丸の内アートプロジェクト構想もあり、ロートレックのポスター展にちなみ、まさに色彩華やかなポスターの列が空間を彩っていました。
三菱一号館美術館は、19世紀、パリ、モンマルトルの繁華街の陽気な踊り子たちや娼婦を赤裸々に描いたロートレックのポスターのコレクションで知られています。
掲載作品は、「シンプソンのチェーン」(1896年)の部分です。赤の文字と背景の黄色に浮かび上がるように青の鮮やかなユニフォームが軽快に走っています。ロートレックは、肖像画においても、その人の特徴をつかんだ大胆な構成で特徴がありますが、デザイナーとしても、才気を大いに発揮しています。とくに人物の動きをポイントにおいた省略化のスタイルと粋な色彩性は、現代においても新鮮な光を帯びています。
ロートレック自身がアトリエに残し、親友で画商のモーリス・ジョワイヤンに引き継がれた貴重なコレクション、180点の作品で、より身近なロートレックの私生活が垣間見られる展覧会となっています。

◆トゥールーズ=ロートレック展/開催中~12月25日/三菱一号館美術館(東京・丸の内)

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