坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

没後100年 青木繁展

2011年05月11日 | 展覧会
今、青木繁に注目があつまっています。美術雑誌やTVの番組でも取り上げられたりと。今年が画家の没後100年にあたり、39年ぶりの大型回顧展てとして全国3か所を巡回する本展は、全国の美術館、個人所蔵家より集めた約300点でたどる、青木繁の生涯(1882-1911)と作品、芸術の全貌と画家が生きた時代の中の青木の人間像に焦点をあてた内容となっています。
代表作「海の幸」(1904年)、「わだつみのいろこの宮」(1907年)などは、教科書でも知られる明治末の大作です。油彩60点という寡作は、28際という短い人生とも関係がありますが、その燃焼度は優れた素描力の迫力に見られます。
破天荒の性格で激しい自負心、文学を愛した青木は、作品の大きなテーマとして、古事記、日本書紀をはじめ諸国の神話があり、東京美術学校に入学してからは上野の帝国図書館に通い、宗教や世界美術の動向の知識を収集していきます。
掲載の「女の顔」(1904年)は、恋人の福田たねがモデルとなっていて、「海の幸」の中でも白い顔が彼女といわれています。

◆没後100年 青木繁展/5月27日~7月10日・京都国立近代美術館 7月17日~9月4日・ブリヂストン美術館(京橋)

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