坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

百花繚乱ー桜・牡丹・菊・椿ー

2011年05月10日 | 展覧会
まさに百花繚乱の季節になってきました。近代日本画のコレクションで知られる山種美術館は、2009年まで桜の名所である千鳥ケ淵にほど近い場所に位置していました。毎年春には桜をテーマにした展覧会を企画し好評を得てきました。移転後も花の絵の企画を要望する声が多く、この季節に四季折々の花を描いた日本画で会場が彩られます。
日本では古来より、四季折々を彩る花を愛で、詩歌に詠い、絵画や工芸の意匠へと表現されました。本展では、近代日本画を中心に、酒井抱一をはじめとする江戸後期の画家から、上村松こうら平成になってからも活躍した画家まで、約50点の作品を展覧。
淡い光の中に桜を描く奥村土牛「醍醐」、裏彩色を用いた福田平一郎の「牡丹」、琳派独特の装飾美の酒井抱一の「菊小禽図」、一枝の一瞬の美を恐縮させた速水御舟の「椿ノ花」など日本画の粋を堪能できます。
他に代表的な作品として、田能村直入「百花」、小林古径「白華小禽」、山口蓬春「梅雨晴」他が上げられます。

◆百花繚乱ー桜・牡丹・菊・椿ー/開催中~6月5日/山種美術館(渋谷区広尾)

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