坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

ヴァロットンー冷たい炎の画家

2014年01月30日 | 展覧会
掲載の「ボール」1899年(オルセー美術館)にあるように、俯瞰した構図で画面の中央がぽっかりと開いた不思議な空間構成で、一度見たら忘れられない印象を受けます。
フェリックス・ヴァロットン(1865-1925)は、スイスで生まれ、19世紀末から20世紀初頭にパリで活動した画家です。
大胆な構図と洒落っ気があるモノクロの木版画は後世の画家たちに影響を与えました。
また、ボナールやヴィヤールらとナビ派の前衛運動に加わり、油彩画のほかに挿絵、美術批評など多彩に活躍しました。
流派でスタイルを区分できない画家であったため、なかなか実現しなかった本格的な展覧会が、日本で初めて実現します。
日常生活や人間関係の裏側に潜む嘘や裏切りが暗示された油彩画群約60点に加え、三菱一号館美術館で所蔵する貴重な木版画のコレクションが展覧されます。
展覧会名が示すような冷たい炎の画家が奥深い作品を示唆しています。

◆ヴァロットンー冷たい炎の画家 /6月14日~9月23日/三菱一号館美術館(丸の内)

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