ルフィ達の後姿を見送ったレイリーは、ルフィ達を追う海兵達の前に立ちはだかると、楽しそうに言った。「弟子の船出だ、よしなに頼むよ」
広場に集まっていた海軍の援軍第1部隊はレイリーに足止めされていたが、ルフィ達の前方からは第2部隊が大挙して押し寄せていた。
だが、ゾロをこの島まで送ってきていたスリラーバーグのゴースト娘「ペローナ」が海兵達を全員まとめてネガティブにして足止めし、3人に先を急ぐように忠告した。
42番GRのサニー号では、問題児3人の到着を待つだけだった。チョッパーが、ゴアの巨鳥に頼んで上空から3人を見つけだし、まとめて海兵達の目前から拾い上げて、やっとサニー号に全員が揃った。
皆は再会を喜び合うのも束の間、サニー号を見つけた軍艦からの砲弾を受け初めた。だが、まだ海底へ沈むコーティングの空気入れの作業が完了していない。
その時、サニー号と軍艦の間に「九蛇海賊団」の船が割り込み、海軍の攻撃を中止させた。ハンコックは、ルフィを向いて小さくウィンクして、今のうちに出航するように促した。
海軍がハンコックの美しさに骨抜きにされている間に、サニー号はコーディングに空気を入れるなど、海底へ潜る準備を完了させた。
ナミが「どうぞ船長」と合図を出すと、ルフィは「ほんじゃ野郎共!!!ずっと話したかった事が山ほどあるんだけど!!とにかくだ!!2年間もおれのわがままにつきあってくれてありがとう!!!」と挨拶をし、それからすぅーーーと思い切り息を吸って、大きな声で宣言した。
「出航だアーーーーーーーー!!!!行くぞォ!!!魚人島ォーーーーー!!!!」
”麦わらの一味”は知らない。シャボンディ諸島に大集結した海軍が追ってこない理由を。
島の各地では、レイリー、ペローナ、ハンコック以外にも彼らの無事の出航を祝福して、海軍を足止めしている者達がいた。
援軍第3小隊は、突如現れた凶暴で巨大な昆虫に行く手を阻まれていた。
援軍第4小隊は、突如振り出した局所的な雨で、火薬武器類が不能になって立ち往生していた。
援軍第5小隊は、ごついオカマの団体に言い寄られて、心を折られてしまっていた。
”麦わらの一味”は、大勢の人達に支えられてここまで来れ、ここから出発していくことが出来たのだった。
海兵を片付けたレイリーは、シャッキーと二人で”麦わらの一味”の船出を静かに見送っていた。
船が見えなくなってからも、無言で海を見続けるレイリーに、シャッキーが声をかけた。
「何か思い出してるんじゃない?レイさん」
レイリーは笑って「いやぁ・・・、まぁな」とだけ答えたが、思い出すと涙が溢れてきそうになった。
思い出していたのは、あの男との出会いだった。家を焼き払われて、盗んだ小船を港に浮かべてのんびり暮らしていた頃、突然声をかけてきた元気な男がいた。
「この世に偶然などないのかも知れない。全てが必然であるかの様に・・・”縁”はやおら形を成してゆく・・。とかくルフィはまた一段とあの帽子がよく似合う男になった!!もう少し・・・長生きするのも悪くないな・・・」とつぶやくように語り、シャッキーは笑顔でそんなレイリーを見つめていた。
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