goo blog サービス終了のお知らせ 

ワンピースまんがぱうち(レビュー・ネタバレ)

ワンピースをまとめながら、フラグとなる詳細を記録しつつストーリーを追っていきます。

623話 海賊フィッシャー・タイガー (オトヒメ王妃-3)

2017年03月23日 | 魚人島編



フィッシャー・タイガーの奴隷解放事件から約年が過ぎた頃(今から12年前)、”タイヨウの海賊団”がとある島に立ち寄った時、タイガーはある人間の子供を島民から託される。

その子の名は「コアラ」11歳、3年前の奴隷解放でマリージョアより逃れてきたのだが、コアラの故郷は遠く離れた地にある為、送り届けてやって欲しいというものだった。


その子は何を言われても、殴られても常時ニコニコしながら謝り、積極的に掃除をする変わった子供であった。
「すみません働きますから、手を休めず掃除しますから、すみませんすみません、何があっても泣きませんから殺さないでください。役に立ちますから殺さないでください」とニコニコしながら懇願し続けていた。



元奴隷であった魚人「アラディン」がコアラの不思議な行動を説明した。
「奴隷の生き方が体にしみついている。同じ奴隷が泣いただけで殺されるのを目の当たりにして次は自分かと怯え、誰にも心許せなくなった姿である」と。


タイガーは、コアラの体に熱した鉄コテを当てて『天竜人の烙印』を消した。
気絶から目覚めたコアラは、気絶してしまったことをニコニコしながら詫びて「殺さないでください」と必死に笑いながら繰り返した。
タイガーは怒鳴りつけた。 「泣きゃあいいじゃねェか!!!おれ達とあのバカども(天竜人)と一緒にすんじゃねェ!!!おれ達は誰も殺さねェ!!!・・・いくぞお前ら、こいつは必ず故郷へ贈り届ける!!!」
その言葉に、コアラは泣いた。今まで抑えこんでいたものが堰を切ったようにボロボロと泣いた。



それでも、コアラが奴隷の習性をすぐに捨てれるわけではなく、深く重いトラウマは彼女の体に染み付いていたが、魚人達はそんな彼女を優しく見守っていた。アーロンを除いては。

アーロンは、たとえ子供であっても人間である以上は敵であるとコアラを敵対視し続けていた。
魚人である彼らが海上を航海し、島に立ち寄るたびに浴びせられる人間からの蔑む視線に怒りを積もらせていたのだ。

だがジンベエには違って見えていた。確かに魚人を蔑む人間もいるがそれは一部で、他は魚人に怯えている様に思えたのだ。ジンベエはコアラに問いかけた。 「何をそんなに怯える?海賊じゃからか?」
コアラは「・・・だって何も知らないから・・・」と怯えて答えた。


ジンベエはその言葉にオトヒメ王妃の演説を彷彿とした。オトヒメ王妃はいつも「私達はまだ何も彼らの事を知らない!!知らねばならない」と訴えていた。相手を知らないということは、恐怖なのか・・・・?知れば何か変わるのか・・?

それからコアラの故郷「フールシャウト島」に到着するまでの数週間、魚人達はコアラと分け隔ててなく過ごし、コアラも心を開いていろんな表情を見せるようになっていて、別れに魚人達が涙するまでに親しくなっていた。



コアラは”タイヨウの海賊団”の皆に「あたし村のみんなに言うよ!!魚人にはいい人達がたくさんいるって!!」と明るい心からの笑顔を見せて手を振り、タイガーに村まで送ってもらった。


アーロンだけはその言葉に悪態をついた。 「あのガキも大人になる頃にゃ他と同じになる。村で一人で主張しても意味はない、まるでオトヒメの主張のように声は虚しく吹き抜ける」と頑なに人間を許さなかった。

タイガーは、コアラを母親の手まで送り届けると、村の人達は相変らずどこの島でもそうであるように、怯えたような怪訝な視線を遠くから送るだけだったが、コアラの幸せそうな涙と笑顔を見届けて、満足した。



その帰り道だった。
”ある島”の人間が、タイガーがこの島に行くことを海軍に通報しており、タイガーは海軍本部の「ストロベリー少将」の率いる軍に取り囲まれた。コアラを託去れたことが、罠だったのだ。タイガーに課せられた罪名は二つ。「襲撃」と「逃亡」。
タイガーは撃たれ、タイヨウの海賊団の船は軍艦に包囲されて襲撃された。



この奇襲攻撃により、”タイヨウの海賊団”の船長フィッシャー・タイガーは瀕死の重傷、一味は海軍の軍艦を奪って命からがら沖へ脱出した。タイガーはすぐに輸血しないと、出血多量で死ぬ状態であったが、一味の者と血液型があわず、軍艦に積んであった人間の血液のストックと型が一致した。
人間と魚人は血の成分は同じなので、輸血可能なのだ。
だが、タイガーは断固として人間の血を輸血する事を拒んだ。
「入れるな!!!それは魚人族を蔑み続けた汚らわしい血だ!!恩や情けなど受けない!!!おれは人間に屈しないっ!!!



・・・おまえらには言いたくなかったが、おれは最後の旅で・・・マリージョアに数年捕まっていたんだ!!おれは!!!奴隷だった!!!そこで見たのは・・人間の狂気!!命からがら逃げ出したのはいいが、目の当たりにした奴隷達を放ってはおけなかった。



よく聞け・・・、おれは思うままに生き、結果オトヒメ王妃を酷く邪魔しちまったが・・・・あの人は正しい。誰でも平和がいいに決まってる!!!だが本当に未来を変えられるのはコアラのような何も知らない”次の世代”だ。
だから頼む!!島に何も伝えるな!!おれ達に起きた悲劇を!!人間達への怒りを!!死んで消え行く者達が恨みだけこの世に残すなんて滑稽だろう!!だがおれの心の”鬼”が邪魔をし、体がその血を拒絶する!!
おれはもう・・人間を・・・愛せねェ!!!」


タイヨウの海賊団の魚人達は叫んだ。
「そんな事言わんで生きてくれっ!!生きられる命なんじゃ!!魚人島の英雄なんだ!!!」光もさして届かない魚人街に、希望の光を投げ続けた大アニキフィッシャー・タイガーはこうして命の幕を閉じた。




元々人間を許していなかったアーロンは、タイガーの遺言も納得できず、その恨みのまま大アニキを殺した人間を皆殺しにする為に「フールシャウト村」に一人戻ったところを、海軍の「ボルサリーノ中将(後の黄猿)」に捕まり、投獄された。



アーロンへの尋問が歪曲して伝わり、世間にはフィッシャー・タイガーは人間『に』献血を拒否されて死んだこととして報道された。魚人達にその報道を否定する術も、もっと残酷な事実輪を公表するつもりもなく、”タイヨウの海賊団”はタイガーとアーロンを失った後も、ジンベエを新しい船長として止むことのない戦いに明け暮れた。
タイガーの理念であった「誰も殺さない」ことを貫いて。













最新の画像もっと見る

コメントを投稿